ビブリオマニア荒俣宏

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   荒俣宏さん著作本では、3冊を愛蔵している。『稀書自慢 紙の自慢』(1991年初版、定価2600円、中央公論社)の「まえがき」には、「書物は読むためばかりでなく、見るためにも造られる。本書で言及される書物は、いまだに日本で紹介されたことのない16-20世紀の美本であり、本書は 〈見られるために生まれてきた世紀の美本〉をもつ楽しさを訴えることを目的に書かれた。いつか、あなたも、このような美しい書物を抱きながら、瞑想の世界に遊んで欲しい。本書の著者は心からそう願う」とある。ビブリオマニアとしての荒俣宏さんの夢と蒐集の基準が凝縮されている。氏が熱愛するゲルダ・ヴェゲナーのエロティックな手彩色の挿絵をはじめ、紹介・掲載されている図版を眺めるだけでも愉しい。

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『フローラの神殿』(1985年初版、定価8500円、リブロポート)は、イギリスの植物学者R.J.ソーントンの『TEMPLE of FLORA』(1812年)の復刻版で、第Ⅰ部「リンネ分類学と植物の愛」、第Ⅱ部「ロバート・ソーントン伝」、第Ⅲ部「『フローラの神殿』の成立」の編著者による解説が付け加わって、この「古今東西のあらゆる植物図鑑を見わたしても、これほどロマンティックで劇的な背景が付された図鑑は類を見ない」美麗な大冊となっている。その一つ「ベニゴウカン」は、アメリカ産の巨大なネムノキの絵画、ジャマイカの鳥ハチドリが2羽、花の周囲を飛びまわっている。この絵が最高であろうか。「象潟(きさかた)や雨に西施がねぶの花」(芭蕉)の合歓の花とは、印象が違っている。面白い。

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 『世界大博物図鑑➊[蟲類]』(1991年初版、定価16000円、平凡社)は、文字通りわが愛蔵の書籍。「虫=昆虫」ではなくあえて「蟲」の図鑑としたのは、虫偏の蟹・蝦・蜘蛛なども含めたからである。

同窓大数加蕃信氏の急逝を悼む

 高校の同窓大数加(おおすか)蕃信氏が、6/4(火)に心臓発作で亡くなったと知らされた。2016年の11/20(日)葉山修平お別れ会で会ったのが最後となった。

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 葉山修平の長篇小説『芭蕉ものがたり』(龍書房)の題名をラベルにした銘酒を数十本もパーティー会場に用意してくれていて、彼が途中会場を後にする際、こちらに「土産に持っていけよ」と2本袋に入れて渡してくれた。じつに男気のある人物で、会う機会は少なかったが、同じ船橋在住ということで励ましてもらうばかりであった。大型不動産の管理運営を主要業務とする会社設立・経営から開始し、東南アジアからの食品輸入会社を立ち上げ、九州熊本での学生寮の管理受託の会社設立などを経て、M&Aも成功させ多種業務を統合したレックスグループの代表に至っていた。太平洋のバヌアツ観光に力を入れていて、現地「サウスパシフィックツアーズ・ビラ」&「ザ・メラネシアンホテル」の運営に携わってきた。いまはご長男(わが長男と同じ近隣のI学園出身)が継承しているようである。日本バヌアツ親善協会の責任者としても、民間レベルでの日本とバヌアツ共和国との交流に尽力している。

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Home - The Melanesian Hotel Port-Vila

協会趣旨 – 日本バヌアツ親善協会

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 昔、大数加蕃信さんがオーナーとなっていた船橋市ではハイクラスのナイトクラブに2度ほど入店したことがあったが、むろん支払い能力のない同窓の客からお代を取ることはなかった。美形の若いホステスが坐ったとき、「こいつは小説を書いているヤツなんだよ、俺はそっち方面のは読んでないけど、才能あるらしいよ」と言って、大数加蕃信さんが笑いながら持ち上げてくれたことも、懐かしく思い出す。残念ながら、彼の全仕事に拮抗し得る作品活動をついに実現できなかったのだが。感謝を込めてご冥福を祈りたい。

 

本日は桜桃忌

 

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 【太宰治関連ブログ過去記事】

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    (庭の鉄砲百合)

江戸川乱歩生誕125周年

https://www.facebook.com/167537993315439/posts/2390483711020845?s=100001434647622&sfns=mo

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 この公開講演会はなかなかの盛況であったらしい。佐野史郎氏が主演であった、生誕100周年記念作品の『乱歩 妖しき女たち』(TBS製作・吉田秋生演出)についての話が初めにあったとのこと。オムニバスドラマの一つが「密室の少女」で小川範子が出演している。その後この演出家と結婚しているのである。かつてHPに記載している(2003年1/11記)。


……佐野史郎演じる公務員を狂言回し役に、彼が読んだ乱歩の世界という構成になっている。オムニバスの第三話が小川範子さん主演の「密室の少女」(TBS発売VHS)である。家代々の歴史的怨念の相手の抹殺をたくらむ魔術師に、名探偵明智小五郎が捕われの身となってしまう。彼は、船の部屋でその娘文代の世話を受け、その助けを借りて脱出に成功する。逃げるときに怪しまれないよう、自分を縛ってくれと娘が頼み、明智は、最後には口にタオルまで押し込んで縛ってしまう。和服姿で縛られ、船室の床に転がされ、怒った父親にしたたか蹴られつづける美少女が小川範子さんなので驚いてしまう。後ろ手の手首の縛りは、いわゆる「高手小手」の縛りではないにしても、痛々しい。縛りよりも女性の髪に興味をもったという伊藤晴雨の弟子の、こちらは徹底的に縛りに執着した喜多玲子(須磨利之)の縛り絵の世界なのだろうか。この少女は、はじめチャイナ服で登場し、入り口からの小階段で、脚を投げ出す。小川範子さんを、全体的にフェティッシュな視線で捉えた映像といえよう。演出は吉田秋生氏である。……



 
押絵と旅する男」「芋虫」「屋根裏の散歩者」など11篇を収めた『犯罪幻想』(東京創元社:1956年11月刊)は、わが自慢の蔵書(古書価格はそれほど高くはない)である。1000冊限定で、1~200番の本だと雁皮紙の表紙で、棟方志功手刷木版画11葉挿入仕様で、残念ながらこの豪華本ではないのだが。201~1000番のものは、アートカンブリック装の表紙、棟方志功凸版挿絵11葉挿入の仕様で、わが所蔵のものである。著者直筆署名入り、972番である。

広島薬研堀製造所 米屋の牡蠣飯・穴子飯弁当

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 昨日はめずらしく客人あり、連れ合いの仏前に線香をあげてもらったうえ、手土産に、広島薬研堀製造所 米屋(めしや)の牡蠣飯・穴子飯弁当をいただいた。昼食にさっそく賞味。穴子はいまが旬と聞くが、その通りやわらかく脂ものっていて絶品であった。

アザナヴィシウス監督『グッバイ・ゴダール(Le Redoutable)』を観る

gaga.ne.jp

 昨夜は、WOWOW(シネマ)で、アザナヴィシウス監督『グッバイ・ゴダール(Le Redoutable)』を観た。映画監督ジャン・リュック・ゴダールの2度目の結婚相手、哲学科の学生アンヌ・ヴィアゼムスキーとの別れに至るまでの物語を、パリ「五月革命」の騒乱を背景に描いている。二人がデモ行進中、一人の男が近づき、「あなたは天才だ、『勝手にしやがれ』や『気狂いピエロ』などについて、いま論文を執筆しているところ」と話しかけると、ゴダール、「あんな作品はクソだ。そんなクソについて論じているお前はゾンビだ」と突き放す。「映画より革命だ」と主張するゴダールに対して、「あんたは農民・労働者のことなんか全然わかっていないよ」とだれかがこき下ろす。ことばの弾丸が飛び交って面白い。

 アンヌ(ステイシー・マーティン)が他の監督作品に出演していて、ゴダールが電話で連絡しても出てくれない。不倫を疑って、ゴダールは「あんなクソ映画に出て何をやってんだ」とホテルで当たり散らす。この俗物的振る舞いに嫌気がさして、とうとうアンヌは離婚を決意するといった展開。巨匠の愛すべき俗物性が遺憾なく露呈していて、じつに愉快である。アンヌを演じるステイシー・マーティンは、たまらなくキュートで、その謎を含んだ表情に惹かれてしまう。ヌードシーンもけっこうあって楽しいが、オールヌードの場面では無念ボカシが入ってしまった。こんなところでボカシを入れたら不自然でかえって猥褻。本日この場面を観たいだけのためにAmazon.com経由でフランス盤『Le Redoutable(再編集可能)』を注文した。なんと1枚のみ在庫(Only 1 left in stock )があった!「年金問題」と同じで、ボカシはいけない。あるがままを正視するべきなのである。

 なお、老ゴダールは健在であるが、アンヌ・ヴィアゼムスキーは2017年10月にパリで逝去しているとのこと。

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