ストリンドベリ作『令嬢ジュリー』

 本日は、スウェーデンの劇作家アウグスト・ストリンドベリ(August Strindberg)が亡くなった日(1912年5/14没)である。その代表作とされる『令嬢ジュリー(Miss Julie)』を観劇したのは、2回ほど。
 1回目は、1992年9月、スウェーデンのPETER STORMARE COMPANY(ペーター・ストルマーレ・カンパニー)による東京グローブ座 での公演。演出は、ペーター・ストルマーレ。


 東京グローブ座の『the GLOBE(ⅩⅧ)』の、ペーター・ストルマーレの「演出ノート」に、『令嬢ジュリー』のスウェーデン特有の季節的背景について記述がある。
……私はこの芝居を「階級」に関するものというより「情熱」に関するものと捉えたい。そして、スウェーデン夏至の日の気違いじみた雰囲気を出したい。夏至の日は、スウェーデンにとって古くからある習慣であり、夏と豊作を迎える祝いなのだ。
 ストリンドベリはわざわざこの日を芝居の舞台に選んだ。なぜなら、スウェーデン人なら誰でもこの気持ちを魂の底に持っているからだ。だからこの芝居の幕開けから、まさに最初の台詞から、令嬢ジュリーは一人家にいて、おかしな振る舞いをしている様子が明らかである。そして観客は彼女が元の婚約者に顔を殴られたことを知る。だから彼女は家にいるのである。おそらく父親に命令されたのであろう。家族にとって婚約を破棄されるということは大いなる恥なのだ。同時にこの芝居は一八八八年に書かれたのであり、今でこそ彼女は若く感じられるが、当時はもういい歳であった。彼女は二五歳である。そのころ、二五歳までには少なくとも子供が三人はいることが普通だった。……(p.28)
 2回目は、1999年12月tptのプロデュースで、デヴィッド・ルヴォー演出、東京江東区のベニサン・ピットでの公演。ジュリー役の若村麻由美の熱演が印象的であった。