美輪(丸山)明宏の舞台回想

 今年のNHKの「紅白歌合戦」で、初出場の大御所美輪明宏が「ヨイトマケの唄」を歌うそうである。愉しみである。じつは美輪(丸山)明宏の歌は、過去からライブでは聴いていない。演劇の役者として応援してきたといえるだろう。といってもその舞台を観たのは、わかるところで4回ほどである。

 寺山修司主宰「天井桟敷」の、1967年4月、草月会館ホールでの旗揚げ公演の舞台、『青森県のせむし男』。演出は東由多加。 

 ジャンコクトー作、三島由紀夫監修、松浦竹夫演出の『双頭の鷲』。1968年10月、東京渋谷の東横劇場での公演。王妃役の丸山明宏について、三島由紀夫は、「王妃役は終始リードする立場に立ち、支配者であり、軍服さえ身にまとうという女武道的要素もあるのが、丸山君には適していると思われる」(同公演パンフレット)と書いている。

天井桟敷」の『毛皮のマリー』が1983年6月、PARCO西武劇場で再演された。この年5月に原作者の寺山修司が亡くなって、追悼公演となった。演出は、鈴木完一郎、演出補は原田一樹。「天井桟敷」の若松武が参加している。このとき丸山明宏ではなく、美輪明宏と改姓されている。堂本正樹は、能の『三輪』であれば、「本来の男の三輪の神が女として現れ、しかも女の衣装ではなく、男の装束を着ている」ところから、「この男女両性の複雑を極めた混交は、まことに明宏にふさわしい姓かもしれない」(同公演パンフレット)としている。面白い。

 フェルナンド・アラバール作・演出の『大典礼』。1985年11~12月、東京渋谷PARCOのSPACE・PART3での公演。同公演パンフレットには、寺山修司の「変装魔アラバール」というエッセイが掲載されている

⦅写真(解像度20%)は、東京台東区下町民家の 山茶花。小川匡夫氏(全日写連)撮影。⦆