デュランタ・タカラヅカ開花



 鉢植えのデュランタタカラヅカが今年はじめて開花。安定感なく、しだれるように花を咲かせている。色は、宝塚のスミレの花の色で満足。もともと熱帯の花木で、5月〜10月の期間咲くそうである。「花は桜」の日本の美意識を混乱させる〈外来種〉の位置づけなのだろうか。

……季節の移り変わりを例えば我々は気温で知る。しかし、季節にもし息づく生命があるとすれば、その息づかいを感じるのは、暑い夏、寒い冬として以上に、太陽と夕立と、朝顔と蝉の声との夏であり、風と雪と、山茶花と梅との冬であった。同様に、桜の春であり、菊、紅葉の秋であった。
 こう想い直してみれば、桜は、朝顔は、菊は梅は、すでにただその名前の指し示す個々の花以上の、もの、であった。さらに詮じつめれば、ついにただ、花は桜と言い置いて、それだけで日本の四季を、生活感情を、美の露われのかたちをさえ言い尽くせていると感じられるようになっていたのである。……⦅『秦恒平評論集・花と風』(筑摩書房)pp.13~14 ⦆