

『盟三五大切』は、『仮名手本忠臣蔵』のスピンオフである『東海道四谷怪談』の後編として書かれ、同じくスピンオフの作品、並木五瓶作『五大力恋緘(ごだいりきこいのふうじめ)』を題材として「本歌取り」した作品である。
犬丸治氏の『天保十一年の忠臣蔵・鶴屋南北作「盟三五大切」を読む』(2005年雄山閣)によれば、文政8(1825)年中村座で初演の後、天保11(1840)年河原崎座で再演されているが、その折前狂言(一番目)は、『仮名手本忠臣蔵』ではなく、並木宗輔作浄瑠璃『狭夜衣鴛鴦劔翅(さよごろもおしどりのつるぎば)』全5段中3段目までを歌舞伎化した、並木五瓶立作「騎錺(きばかざり)忠臣蔵」(大星由良助が夢を見るという趣向)が上演されている。「座頭の海老蔵と作者の五瓶は、一番目と「盟」を一つの統合された劇的宇宙として構成しようとしたのは疑いない」とのことである。
したがって、『仮名手本忠臣蔵』『東海道四谷怪談』『五大力恋緘』『狭夜衣鴛鴦劔翅』4作品の物語世界の関係性を追求することが、『盟三五大切』の背景を知るうえで必要となるのだということ。『盟三五大切』のテクスト分析はそのあとのことだ。スリリングである。