サスペンスドラマ『リベンジ』視聴完了

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f:id:simmel20:20190410172526j:plainエミリー・ヴァンキャンプ

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 Hulu公開の米国サスペンスドラマ『リベンジ』シーズン4の最終話を本日視聴終了。観終わったことになる。海辺の富裕層の住宅地を舞台にしての、父を陰謀で殺害された(じつは生きていたことがシーズン4で判明)エミリー・ソーン(ほんとうはアマンダ・クラーク)による、大富豪ヴィクトリア&コンラッド夫妻のグレイソン家 に対する復讐のドラマである。あらゆる仕掛け・策略と〈日本式〉武術を駆使しての闘いの連続が緊張と興奮をもたらすところに、迫力・魅力があるのは間違いないが、個人的には、ヒロインのエミリー・ソーンを演じた女優エミリー・ヴァンキャンプ猛禽類の激しさと、中型インコが見せる顔を斜めに傾けた仕草の可憐さに大いに惹かれてしまったのはむろんとして、エミリーの復讐を助け協力する、ガブリエル・マンが演じたバイセクシュアルの天才IT技術者ノーラン・ロスに共感するところが多かった。自分の投資家としての成功は、エミリーの父デヴィッド・クラークの支援あってのことと、エミリーの父への恩義から、ときには感情的に対立することはあっても最後までエミリーの闘いを技術的に支えるのが、彼である。エミリーの幼馴染であったジャック・ポーターへの真実の愛に彼女を気づかせ、勇気ある決断を促したのも彼ノーラン。吹替版を視聴、エミリー・ソーンの芦名星の声もすてきであったが、ノーラン・ロスの声を担当した三木眞一郎も知性と優しさ、正しさを説くときの激しさ、恋人に去られる寂しさを過不足なく演じている、魅了された。

 エミリーの復讐が完遂され、ジャックと結婚して新婚旅行の航海に二人が旅立ってしまうと、孤独なノーランにある黒人男性が近寄り、「アマンダ様からの紹介です。冤罪で逮捕されてしまった母親をどうか救ってください」と新聞のニュースを見せて話す。ノーランは「アマンダのプレゼントか!」と目を輝かせる。まるで難事件の依頼を受けた退屈していたシャーロック・ホームズのように喜んだ。このシーンの前に伏線があって、「エミリーへの協力の課題がなくなって、ボクは元のただ金があるだけのカラッポの存在に戻るんだ」とエミリーに語ると、「何かあるわよ」とエミリーが返していた。

 この最後の場面で、唐突にサルトルの『嘔吐』は、冒険の物語でもあるとの澤田直氏の指摘を思い出した。エミリーの復讐劇は21世紀における〈冒険〉の物語であったのか、と思い至ったのである。

 なおデヴィッド・クラークに撃たれて瀕死のヴィクトリアが、力を振り絞ってエミリーをピストルで撃ち、エミリーは病院に急送される。ヴィクトリア(とデヴィッド・クラーク)の娘シャーロットの承諾で、エミリーはヴィクトリアからの心臓移植で一命をとりとめることになる。象徴的で衝撃的な結末。復讐する者もされる者も、もともとは善でも悪でもなく、悪になり得るが白紙であるとの荀子的な人間性の認識を暗示していて卓抜である。「このことエミリーに絶対に教えないでください」と、エミリーの妹にあたるシャーロットが医師に懇願するところも感動的。『リベンジ』ロスになってしまう。

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