ドラマ『リベンジ(revenge)』は、セルフアウェアネスの勉強になる

 アメリカのビジネススクールでの研鑽を嚆矢とするらしい「セルフアウェアネス(Self Awareness)」は、脳神経科学の成果を踏まえ、細かい訓練法が用意されているとしても、つまりは孫子の「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」の姿勢を求めているのであろう。いまHuluで熱心に観ている米国サスペンスドラマ『リベンジ(revenge)』は、エミリー・ソーン(じつはアマンダ・クラーク)という父(デヴィッド・クラーク)を陰謀によって殺害された女性の復讐劇であるが、富裕層のビジネス世界と社交界のなかで多彩な人物が関わり、ゲイ、レズビアンの恋愛ありのLGBTにも配慮した展開で面白い。いまシーズン3の物語を楽しんでいるところ。どの人物も自分の現在に納得できず、いつも自分の「欲しいものとそれを実現するための可能性」を見つめ直し、状況と他人との関係に立ち向かうことの繰り返しで、素人の感想でセルフアウェアネスの勉強になるのである。

 山口周氏(コーン・フェリー・ヘイグループのシニア・クライアント・パートナー)の『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』(光文社新書)に、このセルフアウェアネスについて解説がある。

 コーン・フェリー・ヘイグループは、全世界で実施しているリーダーシップアセスメントの結果から、変化の激しい状況でも継続的に成果を出し続けるリーダーが共通して示すパーソナリティとして、この「セルフアウェアネス=自己認識」の能力が高いということを発見しました。

 セルフアウェアネス とはつまり、自分の状況認識、自分の強みや弱み、自分の価値観や志向性など、自分の内側にあるものに気づく力のことです。

 現在、多くの教育機関・研究機関でもセルフアウェアネスの重要性は高まっており、例えばスタンフォードビジネススクールでは、教授陣が構成する評議会において「これからのビジネスリーダーの素養として、最も重要な要素は何か」というテーマで議論したところ、満場一致で「それはセルフアウェアネスである」という結論に至っています。( p.161 )