ディベートは有効か?

 2003年の夏、広島へ行く「のぞみ」の車中でたまたま読んだ「週刊朝日・8/8号」誌上に面白い論評があった。弁護士の鈴木仁志氏が、翌年度から発足するロースクール法科大学院)をめぐって述べたものである。
『法律家に本当に必要な能力は、映像的に物事を理解する能力。法律の世界では、条文と論理から自動的に結論が出てくるわけではなく、事件ごとの具体的な事情に照らして結論が妥当かどうかを常に検証する作業が必要です。情報が頭の中で次々に絵にならないと、実際にこの案件で誰がかわいそうな人で、人間関係はどうで、という具体的な事情が感じ取れないのです。
 屁理屈でも論理的に言えることは何でも言い、ゲームの勝ち負けを争うようにディベートをするような人は、法律家として好ましくありません。論理学のようなものや受験テクニックが重視されるLS入試で大きく絞りをかけると、そうしたタイプの弁護士を増やすことにつながりかねない、と危惧しています。』
 一般の教育の現場でも、論理性を競わせるディベートの方法が高く評価されて久しいが、想像力を欠いた推論や、実存として直面した状況での経験の積み重ねなしの判断に、どんな学習効果があり、知恵として残るのかは怪しいものであろう。
先日「春秋ツギハギ・日比谷」でランチを食べてから、弁護士(第一東京弁護士会)U氏の案内にて、日本弁護士会館を訪問&見学した。http://www.shunju.com/ja/restaurants/tsugihagi/⦆