アレクシス・ド・トクヴィルの『旧体制と大革命』(ちくま学芸文庫)を読む(Ⅰの第一部)

 このような民主主義的傾向は、貴族と交わりをもった著述家たちだけでなく、文人になった貴族たちにも見られるものだった。後者の大部分は、著述家たちが一般に受け入れている政治理論を声高に主張していた。彼らは文学に貴族的精神を導入することなく、いわゆる文学的精神を貴族階級のなかにもちこんだのである。上流階級がだんだんに凋落し、中産階級が次第に上昇するなか、ゆっくりした動きによって両階級が日々接近していく一方で、不動産の配分には、とくに民主主義の確立と支配を促進するさまざまの変化が起こっていた。
 ほとんどすべての外国研究者は、フランスでは、貴族の領地の大部分が没収された時期に相続に関する諸法律が変わり、この法律改正以降初めて不動産が分割され始めた、と考えている。しかし、この考えは誤りである。革命が勃発したときには、大部分の州で土地はすでにかなり分割されていた。フランス革命は一部の地域に特殊であった事態を全国に一般化したにすぎない。(pp.42〜43)