大江健三郎没。間違いなくWWII後最大の小説家が亡くなった。でも、周期的に自殺の観念に取り憑かれていた人が、こうして天寿を全うされたのだな、とも思う。大江健三郎ほど、読むこと、書くことが生きることだと教えてくれた小説家はいなかった。
— spartacus (@accentdeverite) 2023年3月13日
様々な人が様々に大江文学と自ら、について語っているのは、やはりさすが「文学者」であったと思わされ、中には非常に興味深い話もあるが、条件反射的な「遺志を継ぐ」や「思いを引き継ぐ」といった発言を目にすると、さすがにもうちょっと考えて応えた方が良いのでは?と余計なお世話的な感想を抱く。
— mtachio (@mtachio1978) 2023年3月14日
逆に言うと、当人の政治的発言や行動がどんなにナイーブで「公式」的でも、作品世界の登場人物の台詞や描写の解像度が異様に高いということはままあることで、作品が時に本人を超えてくるというのが小説家の恐ろしいところなんだと思う。
— 河野有理 (@konoy541) 2023年3月14日
大江健三郎が「戦後民主主義」という符牒に収まりきれない人なのは小説を読むとすぐ分かるが、同時に、大江さんが極右から極左までのテロリスト的欲望の「正統性」を承認しさえしながら、「戦後民主主義者」を標榜したおかげで、「戦後民主主義」自体が随分懐を広げたところがあったと思う。
— spartacus (@accentdeverite) 2023年3月14日
simmel20.hatenablog.com▼もう一人のノーベル文学賞作家大江健三郎の『臈たしアナベル・リイ総毛立ちつ身まかりつ』には、ウドン花という植物の名が出てくる。四国の伝説の「メイスケ一揆」を、ルターと同時代のミヒャエル・コールハースの反乱の日本版として映画化しようと試みた物語を、主軸にした作品である。かつてわがブログに記している。
……読者は怠惰では読み通せない。四国の「メイスケ」伝承の源流は、東北の「三閉伊(さんへい)一揆」であって、その指導者三浦命助のことば、「人民雲霞の如く」は「露顕状」と明記されてあるが、「人間は三千年に一度さくウドン花(げ)なり!」は、岩波版『日本思想大系』58『民衆運動の思想』にあたらないとわからない。これは「獄中記」のことばで、「ウドン花」とは、三千年に一度咲くというインドの想像上の植物だそうだ。つまり人間そのものが最も貴重だという意味のことばだ。……
少女のころ映画『アナベル・リイ』撮影中に犯されていた当の相手のアメリカ人と結婚したサクラさんは、アメリカの属国となった戦後日本の比喩なのか。しかし日本の宰相をアメリカ大統領のポチかと憤慨する人たちは、ではどうやって自力で、大国中国と北朝鮮に相対峙するのか、みずからが責任ある立場に立たされたとき苦悩しないだろうか。▼
simmel20.hatenablog.com▼奥山大史監督の『僕はイエス様が嫌い』は、佐伯日菜子さまが出演しているので観ている。そういえば佐伯日菜子は、大江健三郎の原作、伊丹十三監督の『静かな生活』で、語り手のマーちゃん役で出ている。原作の小説と設定や細部のいろいろに異なるところはあるが、映画として面白く、(エロいシーンも多く)優れている。
さらに佐伯日菜子は、乃木坂46のMVでシャーマン役で出ていたこともあった。縁があるのだ。▼