都立上野高等学校





 昨日(19日)は、東京中央区銀座の「サンミ高松」という会場で、東京都立上野高等学校新(制)32期卒業生の学年同窓会が催された.卒業30周年を記念してのイベントだ。若きころ同高に奉職し、その学年担任をしていたことから招かれ出席した次第.教員を含め200名に達しそうな賑やかなパーティーであった。現在は、都立上野高校は学力水準および進学実績が停滞しているかとの風聞であるが、当時は私立進学高の躍進に圧され気味であったとはいえ、学ぶことや考えることが好きな生徒が多数を占め、いわゆる難関大学へ進学する人も少なくないのみならず、大学へ進学してから(目覚めて)学問に情熱・関心をもって取り組む人が多かった.
 現在企業の最前線で働いている多くの人のほかに、出席・欠席者併せて、大学の研究室に籍をおく人らもいれば、教育の現場で汗を流している人もいる.中学の英語教師を経て、いまバングラデシュの子供たちに勉強を教えている人も挨拶に来た.須田慎一郎さんなどという、経済評論家・TVのコメンテーターとして名を知られた男も同窓であるが、当日は欠席.とにかく多彩な人材が集い、それぞれの立場で貢献していることに感動した.Kさん、Mさんほか、かつての美少女がそのまま円熟した美形となって会場内を「百合のよう」に動いていたのには、ただただ見とれるばかりであった.
 昨年「終の住処」で芥川賞を受賞した磯崎憲一郎氏は、この学年の数年後の卒業生で、わが(名ばかりの)顧問であった同高軽音楽部所属だったようである。同高社会科研究室で先輩の同僚であった、秋葉安茂氏は、この3月4冊目の小説集『よこやまの道』(文芸社)を上梓している.教師と生徒共々に貫かれた文藝における創造の伝統であろうか.昔歌手の小椋佳を教えたことのある数学のHさん(大秀才)も、すでに傘寿を越えつつもお元気に参加、喜ばしいことであった.
 近著『レトリックのすすめ』(大修館書店)が「東京新聞」紙上ほか大いに話題となった、関西外国語大学教授の仏文学者野内良三氏は、上野高の卒業生で、大学時代一緒に文学活動をした旧知。わが『十一の短篇』の出版祝賀会にわざわざ出席して励ましのことばをいただいたことは、終生の感激である.
 盛上がった会は、「下町の学校」らしく三本締めにて終了.(なお写真は、肖像権についていまのところ考慮したものではない。了解が得られなければ当然削除となろう。)

⦅写真(解像度20%)は、東京台東区下町民家のテッポウユリ。小川匡夫氏(全日写連)撮影.⦆