昔文京区千駄木の吉本隆明氏宅を突然訪問したとき、ご本人不在で、2階から令室和子さんがまだ幼い長女多(さわ)子さんとともに階段を下りてきて、丁寧に応対していただいた。
また姉君黒沢(和子さんの旧姓)さんは、子息が都立上野高校に通っていて(上智大学進学)、PTA広報紙(新聞)の編集長として、担当のいた社会科研究室に頻繁に出入り、この才女のおかげで談論風発、部屋はサロンのごとき雰囲気を醸し出していた。吉本氏の著書に署名してもらうことををお願いしたところ、快諾していただいたことも忘れない。さらに「病院でよく妹と間違えられるんですよ」と、黒沢さんが笑っていたのを、なつかしく思い出すのである。結婚生活のはじまりなどについては、府立化工以来の盟友だった川端要壽氏の小説で知るのみである。
謹んでご冥福を祈りたい。
- 作者: 川端要寿
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 1998/12
- メディア: 文庫
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