教師の読書について

 教育評論家の尾木直樹氏は、『教師格差』(角川oneテーマ21)で、近ごろの学校教師の読書について書いている.
「教師は本を読まない、ということは、いまや出版社や書店の嘆きにもなっており、筆者の経験からも確信に近くなっています.
 私は、学校に限らず、様々な団体から講演に招かれる機会が多いのですが、話の中でベストセラーを取り上げる際に、読んだことのある人に挙手を求めたりします.その際、手が挙がるのがいちばん少ないのはなぜか教師です.
 統計をとるというような大袈裟な話ではなく、経験的な印象に過ぎないのですが、一般の社会人を対象にした講演会とくらべても、教師の場合は四分の一か五分の一程度しか手が挙がらないように思います。」
 ここではむろん「読書一般」について述べている。しかし「ベストセラー」の本を読んだかどうかと訊いているのは、感心しない.教師は、「ベストセラー」本などとくに読む必要はあるまい.例外はあるにしても、ほとんどが雑書か通俗小説といってよいだろう.教師が読むべきは、古典的な書であるべきだ.売れ筋の本は、本屋で立ち読みぐらいにして(これで十分話題についていける)、読むに値する本を読んでいればよい.そういう意味で「非常識」ならば、大いにけっこうなことである.

⦅写真(解像度20%)は、東京台東区下町民家の石楠花(シャクナゲ)の花芽。小川匡夫氏(全日写連)撮影.⦆