奥本大三郎さん、春の叙勲、おめでとうございます

 

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▼昨日(7/30)は、東京両国の江戸東京博物館1F展示室で開催中の「大昆虫博」を見物した.奥本大三郎氏、養老孟司氏、池田清彦氏ら3人の錚々たる昆虫オタク(研究家)をナビゲーターにした企画で、歴史資料と昆虫標本が展示されていた.ほかに子どもむけの「虫ラボ」などの部屋もあったが、こちらはパス。ひたすら標本類を見て回った.格別めずらしい標本の展示はなかったものの、虫たちへの愛が感じられて好もしい雰囲気ではあった.
 昨年は、自宅でオキナワヒラタクワガタとスジクワガタを飼育していたが、今年はまだ何も飼っていない.かつてわが家の裏にエノキの樹が植えられてある家が2軒もあって、よくタマムシが捕獲できたのだが、いまはどちらもなくなっている.日本昆虫協会理事のやくみつる氏もタマムシが好きだそうで、出不精なので裏の畑から飛んでくる虫を狙うとのことだ。
 昔渋谷区神宮前のFマンション3Fに「Tropicana(トロピカーナ)」という昆虫標本専門の店があった。狭い部屋で、タンスの引き出しに標本が収められていたのには驚かされた.仙台には「藤本標本」があって、そこへわざわざ地下鉄で行った帰り、「Luna Sea」のライブの後だったため、多くのコスプレのファンとすれ違ったことがあった.
 ショップで、奥本大三郎さん署名入りの『散歩の昆虫記』(幻戯書房)を購入.『虫の宇宙誌』(青土社)に、「実際人間の目に触れる昆虫などというものは偶然下に舞い降りてきて、交通事故のように採集家の網に収まったものに過ぎない」とあり、暗いジャングルの下から「数十メートル上の強い太陽の輝く樹海には、喬木や巨大な蔓生植物の葉が光を照り返し、花が咲いて、鳥が飛び、誰もまだ見たことのない、キラキラ光るタマムシコガネムシの類がブンブン飛び交い、シジミチョウ類がチラチラ無類にいるのではないかと想像される」と書いてある.この昆虫エッセイも愉しみである.

 みずから採集したもの以外のわが所蔵の昆虫標本.購入したか、いただいたもの。オウゴンオニツヤクワガタの番は、ある縁あって奥本大三郎氏から贈られた、マレーシア「採れたて」のもので、わが家の宝である。  (2010年7/31記)

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▼昨年急逝した、博覧強記にして辛辣・辛口の書評家・編集者「編集素浪人・ディオゲネス」こと二宮隆洋氏も「情意兼備の評伝であって、余人には書きえない傑作」(「アマゾン・レビュー」)と絶賛した、奥本大三郎氏の絶版書『捕虫網の円光』(中公文庫版)の新品古書をネット古書店で入手。さっそく読み始めた。奥本氏所蔵の標本コレクションのごく一部の写真も載っていて、ビジュアル的にも愉しい書物である。
 1882年の大晦日の日にブルターニュで誕生し、昆虫標本商となったウージェーヌ・ル・ムールトについての評伝。ヘラトラフヒトリという美しい蛾の採集に夢中になった、ル・ムールト少年がついに蝶に出会う件は感動的である。「図鑑を毎日眺め暮らしている子供ならば、憧れの蝶が野外を本当に飛んでいるところに出会ったとき、頭がくらくらするであろう。それが見たこともない美麗種であるならば、驚きは如何ばかりであろうか」と書いてから、ル・ムールト少年の蝶との出会いを記述している。1889年の春、自宅近くの教会の柱に、一頭のオオイチモンジを発見したのだ。少年は、捕虫網を用意していない。そこで被っていたベレー帽で捕獲した。中に閉じ込めたままでベレー帽を被り、走って帰宅した。
……母親が何事かと部屋に迫ってきたのを鋭い声で、「戸を閉めて!」と制してから帽子を脱ぐ。これで大丈夫。見事に蝶は僕のものだ。ガラス窓でバタバタしているのを指でつかまえて、蝶の鼓動を指に感じながら、ウージェーヌ・ル・ムールトは彼の人生の最大の幸福の瞬間を味わった。……(「同書p.67」)
 http://www.geocities.jp/farfalla65jp/japan/tatehachouka/ooichimonji.html
(「オオイチモンジ」)

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