食の贅沢とは




 2016年アジアのベスト50のレストランは、ここで紹介されている。
 http://www.theworlds50best.com/asia/en/asias-50-best-restaurants.html
      (「Asia's 50 Best Restaurants List」)
 http://www.theworlds50best.com/asia/en/2016-The-List/11-20/LEffervescence.html
            (「16位・L'Effervescence」)
 16位に選ばれている東京港区西麻布の「L'Effervescence(レフェルヴェソンス)」は、一度ランチをいだだいている。食材の野菜(蕪)が新鮮で、愉悦のときを過ごせた記憶がある。
 http://www.leffervescence.jp/ja/⦅「L'Effervescence(レフェルヴェソンス)」⦆
 http://r.gnavi.co.jp/gaxp101/premium/(「プレミアムレストラン・L'Effervescence」)
 http://d.hatena.ne.jp/simmel20/20131118/1384744372(「晩秋の南青山・西麻布を歩く:2013年11/18」)

 しかし、食の贅沢とは、必ずしも食事代のかかる店をまわることでのみ実現するものでもあるまい。上野のれん会発行のタウン誌『うえの』3月号に、奥本大三郎氏が「沢庵ぱりぱり お茶漬けさらさら」と題して寄稿している。奥本氏は冒頭で、ある日例の如く松坂屋でおむすびを買い、向かいにある酒悦で、沢庵3本と高菜の古漬けを購入した、と述べている。そこから「年寄りの回顧談」と断り、自分のところで手間ひまかけて漬け込んだ沢庵と、「健全な水田」で収穫された稲を天日で干して、水車で搗(つ)く課程を通して生まれたお米を羽釜を使って薪で炊いたご飯と、どちらも「本物」を合わせて食べる、「今にして思えばあれこそが本当の贅沢だったのだ」としている。なるほど。読むだけでも、美味しさが伝わってくるのはさすがの筆力である。書かれているようなご飯は、昔奈良の東大寺に行く途中にあった下々味亭(1966〜1990年:いまは下々味亭吉茶というカフェとして営業)で食べたことがある。釜で炊いたかやくご飯を、ほうれん草のおひたしと食べた深い味わいの食事で、たしかに食の贅沢を静かに堪能した思い出がある。
(羽釜でご飯を炊く)