ディレンマット作、稲葉賀恵演出『加担者(The Accomplice)』観劇(9/1 下北沢駅前劇場にて)

 6/8(水)に続いて、オフィスコットーネプロデュース、フリードリヒ・ディレンマット作の芝居、稲葉賀恵演出『加担者(The Accomplice)を、9/1(木)下北沢駅前劇場にて観て来た。テーマは、『貴婦人の来訪』とも呼応して、ひとが理不尽でアンチヒューマンな集団的行為に無自覚にも加担してしまっているのではないか、という問いかけである。マフィアの殺害した死体を元生物学者ドクの考案になる死体溶解装置で次々に処理していくミニ工場の荒唐無稽で残酷な作業が、警察、検察即ち国家まで広がって支えられていく関連性を、小さな出来事の連鎖で露わにしていく。2時間15分休憩なしで、端の席でもない座席でそれほど窮屈さも時間も気にならなかったのだから、面白くはあったのだろう。全身から妖しい官能性を発していた、マフィアのボスの愛人だが、ドクと愛し合うようになり、後死体となって運ばれてくるアン=月船さららの存在が大きかった。アンが登場・存在しなければ、この舞台はただの冗談で終わっていただろう。昔ベニサン・ピットで観劇したヤスミナ・レザ作、天願大介演出『スペインの芝居』で初めて観た、女優ヌリア役の月船さららを思い起こした。匂いたつような官能性は変わっていない印象である。

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