月船さららさん


(サイン入り生写真を購入。)
 昨日10/13(木)出口結美子が寿引退により、月船さらら一人の劇団となった新生「métro」の公演、天願大介作・演出『引き際』を、「東京赤坂レッドシアター」で観劇した。「métro」の舞台は、第2回、第3回を観ているので、これで3回目。月船さららの舞台は、「ベニサン・ピット」でのtpt公演、天願大介演出『スペインの芝居』を含めると4回観ていることになる。天願ー月船コンビの舞台が好きなのかもしれない。映画も、天願大介原作・脚本・監督の『世界で一番美しい夜」のDVDをもっている。こちらは、月船さららさん、官能的なフル・ヌードで熱演している。
 第2回目の公演『痴人の愛』が面白かった。
 今回は、大震災と原発事故によって全国が廃墟となりつつある某国(日本?)で起こっている漆黒の喜劇を描いている。映画の『世界で一番美しい夜』のハチャメチャな世界に近いかもしれない。月船さらら若松武史は大いにはじけているが、あまりピンとこないところがある。国外脱出を待ってポーカーに戯れる富裕な人たちが、レイズ×コールを繰り返して、着ているものまで賭けにしてしまう。つまり引き際を喪っているということだ。現代文明の今日を象徴させている。暗転してあとは、ハチャメチャな展開となる。
 何かの内蔵を食材として食べると、殺されても死なないということがわかり、これの大量生産に政府が乗り出すというお話。偶然篠井英介さんと隣の席で鑑賞した、tpt公演、ルネ・ボレシュ作『皆に伝えよ!ソイレント・グリーンは人肉だと』の舞台を思い出した。あれは退屈であったが、こちらは、さすがは元宝塚の月船さららの歌(『方丈記』)あり、ダンス(?)ありで飽きさせない。
 今朝起床すると、左下の歯肉が腫れ上がっている。さっそく歯科医院で診てもらうと、「アウトですな、この歯は」の託宣。抗生物質をもらって帰宅。来週から歯医者通いが始まる。文明の危機より、わが歯の危機のほうが心配。方丈の庵に隠遁した鴨長明も、たしか世話する者が侍っていたのではなかったか。時代はいつだって、「旧き都」から「新都」への過渡期だと覚悟して生きなければなるまい。
 第2回公演『妹と油揚げ』については、HPの記載を再録。
◆冽々の風吹く師走の街を二度ほど出歩いて、芝居小屋を訪れた。4日(水)は、新宿の「SPACE雑遊」。新宿3丁目下車すぐ前のビルの地下にある、小さな劇場。月船さらら出口結美子のユニット「metro」の公演『妹と油揚げ』(天願大介演出)観劇。天願大介月船さららの組み合わせは、ヤスミナ・レザ作『スペインの芝居』(於東京江東区ベニサン・ピット)以来2度目。兄と妹の近親相姦とイズナ妖怪の憑依を柱として展開、後ろ姿ヌードの月船さららさんのまぶしい肢体と、若松武史の悩み事相談屋の俗人(sensual man)性ばかりが印象に残った舞台であった。日常の底に潜むオカルトということでは、5月に観た、劇団「イキウメ」の『関数ドミノ』(前川知大演出、於赤坂RED/THEATER)と重なるところもあろうか。(2009年12/20記)
 第3回公演『痴人の愛』については、下記に再録。
simmel20.hatenablog.com

⦅写真(解像度20%)は、東京台東区下町民家の、ランタナの花とアゲハ。小川匡夫氏(全日写連)撮影。⦆