東京二期会オペラ『サロメ』観劇

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  昨日6/5(水)は、東京文化会館大ホールにて、東京二期会オペラ劇場『サロメ』を観劇した。夕飯を上野駅アトレ(atre)EAST2Fにある「つばめグリル」で摂った。いかにも昭和の洋食屋さんという店内イメージの、このチェーンの店が気に入っている。価格も手頃で利用しやすい。ここのロールキャベツがお気に入りである。むろん昨夕もロールキャベツで、味噌汁と前菜の野菜サラダそしてコーヒーを注文。テーブルの上に置いたチケットを店員さんが一瞥し、「お客さん、文化会館へ行かれるんですか?」「そうです」「それなら、ウチはコーヒーはサービスなんですよ」「つまり無料?」「そういうことです」。嬉しい。文化会館利用の場合は、「つばめグリル」利用がお薦めだ。

 セバスティアン・ヴァイグレ指揮の読売日響の、惨劇を予兆するような重い音とともに幕が開くと、全体が交差した階段状の舞台であった。色彩的にはシンプルで、空に輝く月もなく、ヘロデ王夫妻の天幕も最後までない。階段状の舞台そのものは、かつて蜷川幸雄演出の『ハムレット』で観ているので、特に目新しくはないが、交差しているのは印象的である。ヨカナーンが囚われている地下牢と併せ、上昇と降下、天上と地上、高貴さと卑俗さ、その精神のダイナミズムを暗示しているのだろうか。地下牢にこそ天上的なものがあるという逆説は面白い。

 ヴィリー・デッカー演出は、斬新で、七つのヴェールの踊りは、サロメが衣装を脱ぐことはなく、着たまま、色欲に目が眩んだヘロデ王にいわば〈M字開脚〉をして挑発するパフォーマンスのみ。それでも「踊りに満足したぞ」とヘロデ王

 斬首された預言者の首に接吻したサロメは、ヘロデ王の命令によって兵士たちに処刑されるのが正統の展開であるが、サロメは短刀で自害してしまう。予めこの小物の短刀は伏線として出されていて唐突感はなかったが、驚かされた幕切れではあった。ジョルジュ・バタイユ風な「死に至るまでの生の称揚」としてのエロティシズムを描いたのであろうか。

 サロメを歌った森谷真理のソプラノは、美しく切々と迫るものがあった。秋は、東京二期会オペラ劇場、宮本亜門演出の『蝶々夫人』で蝶々夫人を務めるとのこと。本日チケットスペースオンライン経由でチケット予約をしてしまった。愉しみである。

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 なお3人の副指揮がいて、そのうちの一人根本卓也さんは、次男と高校の同期で、才人である。将来に注目している。

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