佐伯俊男画集

 佐伯俊男 - Living, Loving, Thinking, Again
 NANZUKA - Contemporary Art Gallery
 東京渋谷のギャラリーNANZUKAで、佐伯俊男個展「雲然」が1/20(土)〜2/24(土)の期間催されているとのこと、ブログ「 Living, Loving, Thinking 」にて知った。
 さっそくわが所蔵の佐伯俊男画集4冊を引っ張り出し、ひさしぶりに眺めて愉しんだ。土俗的な舞台装置を背景に、残酷さとエロスが際立つが、描かれる人物・妖怪の目に悪戯っぽさが窺えて、それほど気色の悪さを感じさせない。林静一とともに好きな画家である。
 http://d.hatena.ne.jp/simmel20/20110710/1310294844(「〈少女〉写真のエロス:2011年7/10 」)

(『あかいはこ』芳賀書店1972年1月)

(『痴虫1』発行:トレヴィル・発売:リブロポート1995年6月)

(『痴虫2』発行:トレヴィル・発売:リブロポート1996年2月)

(『佐伯俊男初期作品集』発行:トレヴィル・発売:リブロポート1997年8月)

 佐伯俊男さんは、現在流行のブラック・ユーモアとエロティシズムの味わいをもたせて、この古い日本の恐怖に、新たな表現をあたえた。この恐怖には、しかし私たちの子供の頃の、奇妙に甘いノスタルジックな感情もむすびついているようだ。あの物哀しいお伽話や童謡の雰囲気と、ふしぎにも通じ合うものがあるようだ。
 蛇が女陰にもぐりこむという説話は、今昔物語にも出ていたと記憶するが、これをスカートをはいた女学生とむすびつけたのは、作者の卓抜なアイディアであろう。女の顔が、あの竹久夢二の憂い顔のパロディーになっているところも秀逸である。何度眺めても見飽きない面白さがあるように思う。……澁澤龍彦1970年