チュニジアの事件

 チュニジアで、テロによる惨劇が起きた。亡くなった方のご冥福を祈りたい。事件の背景などについては、2月にチュニジアの地に滞在して調査・情報収集していた、イスラーム(思想史)学者の池内恵(さとし)東大准教授のFacebookとブログの記述で知ることができる。いつもながら昨日3/19も面白い指摘があった。
……この問題に関しては、NHK-BSの夜10時からのニュース番組と、他のチャンネルの番組の質が違いすぎる。
民放は、誤情報だらけであった。出張中のホテルに戻ってきて夜仕事しながらテレビ朝日のニュースを流していたら、珍妙過ぎて、吹いた。
マリのアンサール・シャリーアアルジェリアイナメナス事件に絡んだとか(アンサール・ディーンのこと?)、「名前が似ている」という次元の話ではないかな。大丈夫か。
リビアってフランスの植民地だっけ?チュニジアってチュニジア人女性がタンクトップで歩いている国じゃなかったっけ?なんで外国人観光客が肌を見せるとチュニジアイスラーム教徒が怒るの?(そもそも今は冬なのでコート着ているが)
欧米人観光客がイスラーム文化を傷つけた、という論理は、チュニジアをちょっとでも知っていたら言えないだろう。
ぼやっとエジプトとイランの中間ぐらいの空想の国を見ているんだろうと思う。チュニジアは見たことも聞いたこともないんだろうな。
もう何が何でも社会と国と欧米が悪い、という話にしたいようであるが、民主化もメディアの自由化も社会の安定も模範的なチュニジアでも国と社会が悪いんだったら、イスラーム主義者が生きていける国はないな。
ジハード主義者は、チュニジアが必死にうまくいくように頑張ってうまくいっているから、壊したいんだよ。それだけ。壊せないとは思うが。……
「もう何が何でも社会と国と欧米が悪い、という話にしたい」という議論の展開は、たしかにお馴染みとなっている。自戒したいところである。
 チュニジアという国について、こちらはまったく知るところがない。昔(1965年1月)、Art Blakey & the Jazz Messengersの来日公演で聴いた「チュニジアの夜」のイメージが思い起こされるのみである。


⦅写真は、東京台東区下町に咲くボケ(木瓜)の花、赤と白。小川匡夫氏(全日写連)撮影。コンパクトデジカメ使用。⦆