プロテスタントと近代的自我

 武田清子さん死去 国際基督教大名誉教授 :日本経済新聞
 http://www.asahi.com/culture/news_culture/TKY201204260392.html
 思想史学者・武田清子氏「違う文化尊重を」(戦争と私) :日本経済新聞



 「思想のまともさ」を測る指標 - リベルテールの社会学
 かつて新約聖書学者田川建三さんの愛読者であったので、ICUの学園紛争のとき対立した武田清子さんとの〈人間の相克〉のほうに、むしろ関心があったのである。
 http://d.hatena.ne.jp/simmel20/20110606/1307337605(「吉本隆明さん:2011年6/6 」) 

 近代日本思想史において、プロテスタントの果した独自な役割の一つは「自我」の確立に関する問題提起だと云えると思う。封建的人間関係、及び、それに従属した閉鎖的、奴隷的意識から「自主・自由・独立」の人間の解放を主張した福沢諭吉をはじめ、「明六社」によって代表される明治初期の啓蒙主義者たち(イギリス系の自由主義思想に立つ者にせよ、フランス系の民権思想に立つ者にせよ)の思想活動によって、近代的自我の確立への道が開かれたことは云うまでもない。しかし、人間を「主体的人格」として把握し、「人格としての自由」を日本人のふところに芽生えさせ、形成しようとする働きは、主としてプロテスタントによって開始されたと云っても過言ではなかろう。(『人間観の相克』p.89)