菊志ん独演会「じぶんの落語」


 一昨日(5/17)の夜は、東京音協主催、古今亭菊志ん独演会「じぶんの落語」を聴いた。会場は、東京渋谷区文化総合センター大和田・6F伝承ホール。S氏主宰落語研究会の月例会参加で、参加数は10名。会場には、両脇に桟敷席があり、さすが「伝承ホール」だ。菊志ん人気か、妙齢の女性客も少なくない。ゲストは、立川志らく
 菊志んの演目は、一席目:「堀の内」、二席目:「中村仲蔵」、三席目:「小言幸兵衛」。一席目のあと、立川志らくの「短命」と、師匠への質問が入り仲入り後、菊志んの三席目、四席目という香盤。
「堀の内」は、志らく師匠によれば、「笑いの量が多いので前座がよく高座にかけるが受けた試しがない」(『全身落語家読本』新潮選書)とのことだが、菊志んは声とリズムがよく、ただのナンセンスの笑いを愉しめた。 
 志らくの「短命」は、「お色気話ではあるが、この女の強さをテーマに描けば半永久的に語ることが出来る落語ではなかろうか」(前掲書)と分析していて、前半の美人の強さ(=可愛さ)と、後半の間抜けな八公の女房の強さ(=可愛さ)を強調。さすがに堪能できた。いささかも慌てないテンポが、心地よい。
 菊志んの「中村仲蔵」は、先日志らく師匠の高座を聴いたばかりで、違いが鮮明、仕方なし。「名題(なだい)」という歌舞伎役者の地位をそれとなくわからせようとしたのはよかった。「小言幸兵衛」は、後半仕立て屋のやりとりでは、志らく師匠が「小言幸兵衛というよりストーリーテイラーである」(前掲書)と指摘する通り、大家が突然饒舌な話し手になってしまう、そのあたりの捌き方に工夫が必要なのだろうか。
 例によって、会場近くの居酒屋で夜が更けるまで、大いに呑み食い、かつ論じ、あわてて店を出て途中水天宮駅まで同方向のF氏(元製薬会社支社長)とともに、地下鉄半蔵門線に飛び乗り帰宅の途に。
⦅写真(解像度20%)は、東京台東区下町民家に咲く、ペチュニア(八重・ホワイト)。小川匡夫氏(全日写連)撮影。⦆