『墓場の鬼太郎』と下平和夫

 NHK朝の連ドラ「ゲゲゲの女房」は、キャスティングよろしく面白く観られる.「ちりとてちん」以来の出来映えだ.いよいよ名作『墓場鬼太郎(後・墓場の鬼太郎)』初巻が出版されたところで、時代を振り返りつつ楽しんでいる.
 ところで、この『墓場の鬼太郎』の魅力をはじめて教えてくれたのは、当時都立白鴎高校定時制過程)で大先輩の同僚として勤務していた、今は亡き下平和夫氏であった.氏は、日本数学史(和算算額)の気鋭の研究者で、当然のごとく短期大学への割愛を経て、以後次々に業績をあげていったのである.『日本人の数学』が現在2万円以上の値がついているとは、驚きである.その下平氏から、街を歩いているとき「水木しげるという漫画家の『墓場の鬼太郎』は面白いから、ぜひ読んでみるとよい」と奨められた。いまにして氏の圧倒的読書量と慧眼に敬服する.
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   http://library.main.jp/index/jst03234.htm

 この都立白鴎高校定時制過程)には、当時東大助教授であった、西洋古典学の泰斗(たいと)亡き斎藤忍随氏のご令室が、国語を担当、和服で勤務していて、下平氏と「夕べは、唐木順三が家に来て、メチャクチャに酔っぱらって困ったわよ」などと、いま考えると畏怖すべき会話をしていたのだ.氏の真理探究者としての情熱的な姿勢から、大いに学ぶことができたことを感謝したい.
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⦅写真(解像度20%)は、東京台東区都立白鴎高等学校・附属中学校近くの民家の春牡丹。小川匡夫氏(全日写連)撮影⦆