アレクシス・ド・トクヴィルの『旧体制と大革命』(ちくま学芸文庫)を読む(Ⅰの第二部)

 パリは早くから王国のなかで特別の優越性を獲得していた。フランスには多数の都市があったが、パリのような大都市は一つしかなかった。中世期に早くも、パリは王国の知識・富・権力の中心になり始めていた。政治権力のパリへの集中は、たえず都市としての重要性を増大した。パリの栄華が増すにつれて、今度は権力の集中も容易になった。国王は公務をパリに引き寄せ、パリは公務を国王に引き寄せたのである。
 フランスはかつては、条約によって獲得した州と武力によって征服した州から構成されていた。実はこれらの州は、長い間民衆対民衆の関係では相互対立の状態にあった。中央権力が国内の異なる諸地域を同一の行政制度に従わせることに成功するにつれて、相互の差異は薄れていった。また同時に、中央権力はその影響力の範囲をフランス全土へと拡大することがすます容易になった。こうして、国民的統一は政治的統一を容易にし、政治的統一は国民的統一に役立った。(pp.60〜61)