『桜姫東文章』(歌舞伎座6月公演)三・四幕目&大詰オンデマンド観劇

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           (「東京新聞」2016年10/13)
    四世鶴屋南北作『桜姫東文章』の復活初演の舞台を観たのは、1967(昭和42)年母のお供で、国立劇場での通し狂言全5幕の公演であった。若き坂東玉三郎が稚児白菊丸、中村雀右衛門が桜姫(風鈴お姫)、守田勘弥長谷寺の清玄、坂東三津五郎が釣鐘権助(実は信夫の惣太)、河原崎権十郎が粟津七郎(有明の仙太郎)、澤村宗十郎葛飾のお十という配役であった。坂東三津五郎(八代目)はわが贔屓役者。
 今回新型コロナ感染症で、6月歌舞伎座公演第2部『桜姫東文章』下の巻の前売りチケット予約手続きに完全に出遅れ、こちらは観ていないが、かつての片岡孝夫(現仁左衛門)・坂東玉三郎コンビの復活上演というプレミアも付いて、すぐに全公演完売してしまった。この度オンデマンド鑑賞の機会が与えられ即申し込み、昨夜三幕目「岩渕庵室の場」、本日四幕目「山の宿町権助住居の場」および大詰「三社祭の場」を観劇した。
 物語は、衆道(稚児愛)、輪廻転生、お家騒動、幽霊騒ぎなどいろいろな要素が綯い交ぜになって展開するが、三幕目・四幕目での魅力は、何と言っても吉田家のお姫様(桜姫)が女郎(風鈴お姫)に零落するというところであろう。四幕目での女郎風鈴お姫が、「みずからは」と姫の口癖を品よく声にしたすぐ後に、下品な女郎ことばを吐いたりと、あくまで姫としての気品を底に漂わせながら台詞を声に出す玉三郎の、声と所作の倒錯的エロティシズムに酔わされる舞台。大詰、浅草観音様山門を背景にして、信夫の惣太から取り戻した吉田家の家宝都鳥によってお家再興が可能となり、風鈴お姫は再び桜姫に復活、艶やかな姿に感動。大詰で、新型コロナウイルス陽性の疑いで出演が危ぶまれていた片岡千之助が、吉田松若役で登場、祖父仁左衛門の若いころを彷彿とさせるイメージ、驚いた。

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