鳳凰祭4月大歌舞伎・夜の部公演『与話情浮名横櫛』&『連獅子』観劇(4/27)

 1F1列3番の席で、最前列とはいえ左端の席なので、首が痛くなるかと絶えず気にかけながらの鑑賞。黄金コンビ、坂東玉三郎片岡仁左衛門のお富&与三郎の舞台、ただ堪能するのみであった。「源氏店再会」の場での「しがねえ恋の情けが仇」の仁左衛門=与三郎の台詞、「仇」のアクセント、なるほどと思った。さり気なく締めるのだ、記憶違いをしていたようだ。赤間源左衛門別荘の場での玉三郎=お富の匂い立つエロティシズムに酔わされる。
 新型コロナ感染症で中止となっていた、幕間食事が再開されて喜ばしい。奮発して少し贅沢に3F「花篭」でお寿司をいただいた。昔母のお供で(旧)歌舞伎座で芝居見物した折も、毎回お寿司系統を当日予約注文したことが思い出された。

               ー以下筋書より拝借ー 

          (2幕目・赤間源左衛門別荘の場)

              (3幕目・源氏店の場)

 河竹黙阿弥作『連獅子』は、能舞台を模した松羽目物の一つで、能の『石橋』を素材にした獅子物の一つでもある。手獅子を携えた狂言師右近(後に親獅子の精)=尾上松緑と同じく手獅子を携えた狂言師左近=尾上左近(後に仔獅子の精)が登場、文殊菩薩が住むという清涼山に掛かる石橋の謂れを踊ってみせ、千丈の断崖絶壁から仔獅子を突き落とす親獅子の試練を語る出だし。突き落とされた仔獅子は花道に待機、そして死んではいなかった仔獅子と親獅子との再会の前段のクライマックス。
 狂言師が退場すると、間狂言が入り、文殊菩薩を求めてやって来た浄土の旅の僧(河原崎権十郎)と法華の旅の僧(坂東亀蔵)とが出会い、道中「宗論」が勃発。後段、一陣の嵐が吹き寄せ、獅子の出現と恐れ慄(おのの)いた旅僧たちは下山してしまう。登場したのは、白色の毛の親獅子の精(松緑)と赤色の毛の仔獅子の精(左近)、はじめは牡丹の花に戯れ、そして長い髪を振って狂いの舞、観客の拍手鳴りやまず、終演。たしかに見応えがあった。実際の父子の共演であることが面白い。なお、狂言の『宗論』は、1984(昭和59)年9/27(木)国立能楽堂にて、能の『葵上』とともに観ている。シテ=野村又三郎、アド=三宅右近、小アド=野村耕介。