『ベルリン・天使の詩(うた)』の天使

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 天使という存在について、あまり確たるイメージが湧かないが、天使ダミエルが、ブランコ乗りの美女マリオンと一緒になるために(死すべき)人間になって、外の風景がモノクロからカラー画面に切り替わるところは、上映プログラム誌上の今福龍太×細川周平対談で指摘されている通り、たんなる映画手法の妙を超えて感動的であった。

 上映プログラムに、ヴィム・ヴェンダース監督へのインタビュー記事が掲載されている。

—この映画のラストはハッピーエンドですが、今までのあなたの作品やハリウッド映画のハッピーエンドとはどこか違うように思います。このハッピーエンドについて。

W.W.   ある意味では、この映画のエンディングはビギニングでもあります。この映画はラブストーリーというよりも、その序文のようなものです。ラブストーリーが始まる前に映画が終わってしまうのですから、ハッピーエンドというよりもハッピービギニングと言えるのではないでしょうか。そこで最後のショットに“つづく”と書かれています。

—女性が世界を救うとおっしゃっていましたが?

W.W.    その質問には次の映画が完成するまで答えられません。私はその答を知っていますが、それをここで言うと、映画の内容を言うことになるので、答は次回作で見てください。 

 ただ、誰かがわれわれを助けなければいけないとしたら、男ができなければ女が、女ができなければ子供たちが、われわれを助けてくれるのではないでしょうか。

   それでは「次回作」とは、『風の谷のナウシカ』だったことになる。