政治における心情倫理と一貫性

 立憲民主党のアイドル 小林よしのり氏の「心情倫理」 – アゴラ
 筋を通すなら立憲民主党でなく社民党だろう – アゴラ
 池田信夫氏のブログ記事を読んで、かつてわがブログでreviewを記載した、『近代日本の陽明学』(講談社新書メチエ)の著者小島毅東京大学准教授が考察した「陽明学的心性」を思い起こした。
……小島准教授の「陽明学的心性」は、マックス・ウェーバー風にいえば、「結果倫理」ではなく「心情倫理」にあたるものであろう。明治になって、この「陽明学的心性」は、キリスト教プロテスタンティズム)やカント哲学そして社会主義思想の受容まで基層で支えていたのではないかと分析している。見事な考察である。……
 http://d.hatena.ne.jp/simmel20/20110614/1308022971(「陽明学的心性:2011年6/14 」)
 ブルガリア政治学者イワン・クラステフ(Ivan Krastev)氏は、2012年の「TED Talk」講演「信頼なしの民主主義はあり得るか?(Can democracy exist without trust ?)」のなかで、政治行動においての一貫性について述べている。
 イワン・クラステフ: 信頼なしの民主主義はあり得るか? - English-Video.net
 透明性が政治の中心となり、テクノロジーの発達によって政治家の言動が過去に遡って逐一点検・追跡され過ぎれば、過去の言説との一貫性のみ重視され、政治家の言動から柔軟性および現実対応能力を奪ってしまうのではないかと、現代民主主義の孕む問題性を指摘している。
And the Americans who are in the room,are you not afraid that your presidents are going to govern on the basis of what they said in the primary elections? (この場にいるアメリカ人の方々は大統領が 予備選挙の公約を意識して政治を行うとしたら ゾッとしませんか?)
I find this extremely important,because democracy is about people changing their views based on rational arguments and discussions.(とても大切なことは、民主主義では理の通った議論に基づき見解を変えることが許されることです。)
And we can lose this with the very noble idea to keep people accountable for showing the people that we're not going to tolerate politicians the opportunism in politics.(しかし 高貴な理想に駆られ人々に報告義務を課し、政治の場における日和見主義を許さないとすれば、民主主義は失われます。)
 理の通った議論(rational arguments and discussions)の前提には、確かな事実認識の共有が求められよう。さてトランプ大統領日和見主義に転じて、トランプゲームのツー・テン・ジャックのように、これまでのマイナス(スペード)札全部をプラスに引っくり返す離れ業を演じることができるのだろうか。