若林圭子博品館リサイタルを聴く



 昨晩12/8(月)は、東京銀座の博品館劇場で「若林圭子博品館リサイタルVol.12・Quelle Voix(どんな声で)」を聴いた。曲目は以下の通り。


 (マルセル・ムルージュ「小さなひなげしのように"Comme un p'tit coq'licot"」)

 「ラ・ボエーム」「ナントの街に雨が降る」「百万本の薔薇」などシャンソンの知られた名曲も若林圭子が唄うと、その哀切感が魂の深いところから湧出し、たゆたっている感じである。ピアフの「愛の讃歌」は、原詞に忠実な日本語の訳詞を朗読してからフランス語で唄った。素晴らしい。大晦日NHK紅白で恐らく唄うであろう美輪明宏になおある声の甘さがなく、ピアフの音楽活動におけるレジスタンス性が遺憾なく発揮されていた。Bravo! 熊本民謡「田原坂」は、わが高校生の時の同人誌発表小説が西南戦争での田原坂を舞台にしたものだったので、懐かしさを感じながら聴いた。みずから訳詞しているレオ・フェレの曲は3曲唄った。「マフィア」「ポエジィはずらかったよ、ヴィオン!」「最高だ!」の3曲。「ポエジィはずらかったよ、ヴィオン!」には、若林圭子さんのポエジィ喪失の現代に対する悲嘆と批評が込められている。決して重く唄っていない。楽しめた。
『君の名は』の主題歌「黒百合の歌」も、昔聴いたものとは印象が違い、土俗的な感性を取り込もうとしている感じであった。面白い。
 
 伴奏のピアノ:種村久美子、ベース:谷源昌(もとあき)、ヴァイオリン:後明美佳の音もじつにすてきで酔わされた。
 アンコール曲は、「ブンガワンソロ」、インドネシアの大衆音楽クロンチョンの一つ。ブンガワンソロとは、ジャワ島を流れる川の名前=ソロ川のこと。戦後美空ひばりほか何人かの日本人歌手が、松田トシ訳詞で唄っているようである。意外な選曲に驚いた。幕切れとしてはよかった。

 鎮痛剤ロキソニンが効いたのか、右膝&大腿四頭筋の痛み少なく、新橋駅・津田沼駅の階段を手摺に頼りつつも一気に上って帰宅できた。最高だ!