「若林圭子・博品館リサイタルVol.14」を聴く



 昨晩は、銀座博品館劇場にて、毎年恒例の「若林圭子・博品館リサイタルQuelle Voix」の「Vol.14」を聴いた。昨年は事情あり、聴けなかったので、2年振り。「ナントの街に雨が降る」(バルバラ)ほか冷たい雨、「コンドルは飛んで行く」(ペルー民謡)「かもめ」(FADO)の天空を飛翔する鳥、「百万本の薔薇」「秋庭幻想」(村次郎作詞・松本青樹作曲)の鮮やかな色の花、そして「トゥクマンの月」(アタウアルパ・ユパンキ)、アンコール曲「キャラバン」(デューク・エリントン)の月などのイメージが、それぞれの唄で反射し合って心地よく酔えるのであった。みずから訳詞、得意のレオ・フェレの曲は3曲、それらも含めて、まさに「最高だ」。人生の哀しみと矜持、たまさかのお遊び、そして時代への憤りを、魂の底からのような、独特の声による円熟した表現で唄い切っていて、時間が経つのが早かった。「ナントの街に雨が降る」には、何度聴いても感動してしまう。ピアノ:種村久美子、ベース:谷 源昌の音もすてき、あいにくの霧雨の天候が止まらなかったが、博品館の館内にはいっとき〈スーパームーン〉が輝いたのであった。
 今回はじめて聴いた「海賊のフィアンセ」は、ベルトルト・ブレヒト作、クルト・ワイル作曲『三文オペラ』中の結婚式場面で乞食商会の主人の娘ポリーが、酒場の皿洗いのマネをして唄う唄。この『三文オペラ』の舞台は、1983年5/24ウィーン国立ブルク劇場の来日公演を、五反田簡易保険ホールで観ている。アドルフ・ドレッセン演出、ハンスゲオルク・コッホ指揮・ピアノ(+トランペット・コントラバス・打楽器のオーケストラ)の舞台であった。懐かしく聴いた。




 http://ameblo.jp/haco-chang/entry-12169650109.html(「若林圭子ライヴ『語り唄 Vol.5』 ギャラリー古藤にて」)※かつてシャンソン歌手若林圭子さんの存在を教えていただいたhaco-changのブログ。