ゲオルク・ジンメルにおける「社会」

 本日は、ドイツの社会学者・哲学者ゲオルク・ジンメル(Georg Simmel)が亡くなって(1918年9/28没)95年にあたる祥月命日である。ジンメル社会学では、社会とは、人間の表面的一時的でなく、反復的で緊密的な相互行為が成立している集団のことである。純粋なあるいは学問としての社会学とは、この相互行為の形式的側面を対象とするということである。
……(「純粋社会学」をつくりあげた根本動機をもたらしているものは、)つぎの二つの命題である。すなわち、その一つは、どんな人間社会にも内容と形式が区別できるということであり、もう一つは、人間社会そのものはまったく一般に個人間の相互作用であるということである。こうした相互作用は、つねに人間の本能から、あるいは特定の目的のために生ずる。色欲、物的関心、宗教的衝動、防禦ならびに攻撃の目的、ゲームならびに営利の目的、救済ならびに教化の目的、その他無数の目的にうながされて、人間は他の人間と集合し、互助行為や共存行為や対立行為をいとなむようになり、つまり、他の人間と相互関係にはいるわけで、いいかえると、他の人間に影響をあたえ、他の人間から影響をうけるのである。これらの相互作用が意味するものは、右の誘発的な衝動と目的をもつ諸個人から一つの統一体が、まさに「社会」というものが生まれるということである。……(原文は、阿閑吉男訳『社会学の根本問題』社会思想社。引用は、安田三郎編集代表『原典による社会学の歩み』講談社pp.65~66)