お江戸両国亭の二人会

 昨日6/29(土)は、S氏主宰落語研究会の6月例会に参加した。国技館反対側にあるお江戸両国亭で、二人会「三遊亭萬橘・三遊亭天どん」の高座を聴いた。参加人数10名。三遊亭萬橘は今年3月に真打ちになったばかり、三遊亭天どんは今秋真打ち昇進が決定している。「時分の花」ということもあるまいが、両人とも勢い盛んになりつつある感じの咄家であった。ただし、仲入り後の「対談」の番組はいただけない。「どちらの顔が不細工か」などという愚かなことをめぐって、延々と応酬していた。藝にもなにもなっていなかった。腹は立つし、観客としてはこれで疲れてしまった。好漢自重されよ。



【番組】前座:「肥瓶」、1三遊亭萬橘・「新作」、2三遊亭天どん・「子別れ・下」、仲入り、3三遊亭天どん・パロディ「子別れ・下」、4三遊亭萬橘・「黄金餅
 三遊亭天どんは、柳家喜多八師匠を思わせるような気怠くかったるい雰囲気で登場、だいじょうぶかと思わせるが、それなりの味があり、ひょっとすると大物になるのかもしれない。志らく師匠は、『亭主に「子供は夫婦のかすがいだな」と言わせるのが堪らなく嫌だ』(『全身落語家読本』新潮社)と述べているが、八百屋を出して言わせなくとも、それほど気にはならなかった。パロディのほうは、この人情噺を徹底的に笑いのめしていて痛快であった。かすがいを叩く「ゲンノウ(玄翁)」に替えて、パロディ版では、オチは、養育費を払っていない元の亭主に「ゲンノウ=現納」で、となった。
 http://ginjo.fc2web.com/106kowakare/kowakasugai.htm(『落語「子別れ・下」の舞台を歩く』)
 三遊亭萬橘の「黄金餅」は、「江戸落語の最高傑作」(志らく前掲書)。酒癖の悪い和尚の読むお経の「キンギョー(金魚)、キンギョー(金魚)」の声には、未だ悲惨の果てのナンセンスの笑いが熟していないのは当然であろう。
 http://ginjo.fc2web.com/016koganemoti/koganemoti.htm(『落語「黄金餅」の舞台を歩く』)
 終演後、JR両国駅近くの居酒屋で呑み会。参加10名。両親の病死や介護の問題に話が盛り上がった。「黄金餅」の陰気の美学(毒)に影響されたのだろうか。帰路は総武線で楽勝のはずであったが、疲れた一日であった。2時ころ床に就いたが、ひさしぶりにGERD(胃食道逆流症)の症状が出てしまった。

 
⦅写真(解像度20%)は、東京台東区下町民家のヨルガオ(夜顔)。小川匡夫氏(全日写連)撮影。⦆