猪俣公章&蜷川幸雄の舞台


 昨日6/11(火)の夜、『NHK火曜コンサート』で、作曲家猪俣公章さんの没後20年(1993年6/10没)を記念して、森進一・坂本冬美マルシアなど縁の歌手が、この作曲家の歌を唄った。
 猪俣公章の音楽といえば、この作曲家と高校の同窓の関係にある蜷川幸雄演出の舞台で、聴いている。記録を整理し当時の感動を思い起こしつつ、この作曲家を偲びたいものである。
秋元松代作『元禄港歌』1980年8・9月、帝劇)
 劇中歌に美空ひばりの歌が入り、この作曲が猪俣公章
……日本の現代音楽を代表するものは演歌だ、と言った人がある。秋元氏や蜷川氏の夢の中に、現代日本のすこぶる親しめる、日本人のかなしさそのものを体現したような一種の音楽劇が思い描かれているのだったら——、そしてそれが実現できたら、平幹二朗の舞台に大輪の「花」が開く。そのことに、作者も、演出家も、助演者たちも、作曲家も、歌手も、すべてが一丸の力となるだろう。……(山本健吉『「元禄港歌」への期待』同公演パンフレットp.27)

唐十郎作『下谷万年町物語』1981年2・3月、PARCO西武劇場)
 http://www.wonderlands.jp/archives/16677/(「劇団唐ゼミ☆『下谷万年町物語』」)

秋元松代脚本『近松心中物語』1981年11月(初演は1979年2月)、帝劇⦆
 劇中歌「それは恋」ほかを森進一が唄っている。作曲が猪俣公章
……作詞は、この劇の作者(脚本)であり、閨秀歌人でもある、秋元松代である。流石に、歌人の詩である。格調の高い「愛」の抒情詩である。これが近松の心中物語の主題歌かと思うほど、新鮮な作品である。/この詩に猪俣公章が附曲し、森進一が唄っているのである。私にとって、伜のような二人である。親近感は、一入(ひとしお)深い。……(藤田まさと「蜷川歌舞伎と主題曲・私感」同公演パンフレットp.24)

秋元松代作『南北恋物語』1982年11月・12月、帝劇)
 主題歌「人はいとしや」を前川清が唄っている。作曲が猪俣公章
(同公演パンフレットから)
唐十郎作『黒いチューリップ』1983年2月・3月、PARCO西武劇場)
 http://yaplog.jp/henkutsu/archive/93(「唐ゼミ『黒いチューリップ』」)
⦅写真(解像度20%)は、東京台東区下町民家の、皐月貴公子。小川匡夫氏(全日写連)撮影。⦆