ビジネスエリートの教養

『COURRiER Japon』June2013号は、『世界に通用する「教養」を身につけよう』という特集記事を組んでいて、はじめてこの雑誌を購入。
 アメリカでは、130校ほどある全寮制の少人数教育のLAC(リベラル・アーツ・カレッジ)は、人文科学から自然科学まで幅広い教養教育を行っていて、この10年のーベル賞受賞者53人のうち12人がLACの出身者であるとのこと。スワースモア大のような伝統的一流校は、ハーバード大よりも難関だといわれているとのことである。中国でも「理工系の専門重視の教育を見直すべきとの声」もあがっていて、現在「(米国流)リべラル・アーツ」を標榜する高等教育機関が増えているとのことである。フランスのバカロレアの試験では、たった一行の問題文を4時間かけて論ずる「哲学の試験は受験生が最も恐れる試験であり」、「試験中の試験」とも呼ばれているという記事については、知っていたことであり驚くことはない。そしてイギリスの名門寄宿校イートンでは、週35時間の授業(1時限は40分)と多い宿題で「生徒は常に忙しく」、「そして夜は、学校の文科系クラブが企画するディベートか、演劇鑑賞か、コンサートの3つからどれか一つを選んで、参加しなければならない。だからテレビを観たり、ゲームで遊んだりする時間はほとんどない」。
 さて面白く読んだのは、かつて累積5000億円の日本株を国内外で運用した実績をもつ、現在野村投資顧問で作家(波多野聖)でもある藤原敬之氏の『欧米人エリートと渡り合うために必要な「文化的教養」とは』の記事。
……米国人と付き合うことは、それほど難しいことではありません。いちばん簡単なのは、メジャーリーグの話でもすることです。米国人とは難しい教養うんぬんの話ではなく、スポーツでもいいので、共通の話題が見つかれば親しくなれます。
 その上で、欧州的な教養をちらっと垣間見せておくと、基本的に欧州に対する文化的コンプレックスのある米国人は、こちらに一目置いてくれるでしょう。……
……一方、オックスブリッジを出た典型的な英国人エリートにそんな中途半端な教養を見せたら、逆にボコボコにやり込められますので注意してください。彼らはギリシャ語、ラテン語といった西洋古典の基礎から徹底的に叩き込まれていますから。……
……英国人に限らず、ヨーロッパ人のエリート層はおしなべて教養があるので、例えばクラシック音楽について一家言あるところを示せば、話が弾むでしょう。……  
 そう述べている藤原敬之氏が推薦しているのは、リサ・バティアシュヴィリを迎えたバイエルン放送交響楽団演奏、ショスタコーヴィチの『ヴァイオリン協奏曲第1番』。
(こちらはNHK交響楽団と)

時の谺(こだま)

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