「柳家花緑独演会」を聴く


 
 昨日12/20は、東京銀座ブロッサム中央会館にて、「柳家花緑(かろく)独演会」を聴いた。S氏主宰落語研究会企画への参加である。参加7名。終演後の呑み会含めて楽しい夜となった。
 前座は、弟子柳家花いち(二つ目)の「初天神」。子供に買ってやるのは、団子ではなく飴。同じく水溜まりに落ちても、飴のほうが少し清潔な感じで、よろしいかも。凧揚げまでは演じない。子供に振り回される大人の情けなさよりも、父親のおとぼけのほうが強調されている。オードブルとしてはまあまあか。
 花緑師匠の出し物は、「竹の水仙」。左甚五郎ものだ。旅籠大黒屋の女将のしたたかさが巧みに表現されて面白かった。仲入り後「試し酒」、今回初演、ネタおろしだそうだ。この演目を十八番とした五代目柳家小さん師匠は、立川志らく師匠によれば、
……小さんの芸は全て計算されつくしているのです。押さえて押さえて、淡々と面白いことを言う。そこへもってきて強烈なフラ(※どこともいえないおかしさ)まで持ち合わせているから凄い。
 更に人間をしっかりと描いているから脱帽だ。あれだけ地味に押さえて演じているのに、どうして人間が描けるのか。実は人間を描きたいと思ったら、表情や口調は押さえるべきなのだ。人間を出そう出そうとして派手になればなるほど、演者自身が顔を出してしまう。……(『全身落語家読本』新潮選書)
 五代目柳家小さんの孫であり弟子でもあるのが、柳家花緑。これからどう円熟していくのか見守りたい。

⦅写真(解像度20%)は、東京台東区下町民家のミニバラ。小川匡夫氏(全日写連)撮影。⦆