野ざらしをなんとか十八番にしたい。最も好きな噺だが、最も面白くできない落語。
— 志らく (@shiraku666) 2018年9月4日
高校生のころ友人のS君と、上野松坂屋の公衆電話から黒門町(現・上野一丁目)にお住まいの(五代目)古今亭今輔師匠のお宅へ電話したことがあった。S君は演劇部で老人役が得意、こちらも当時創作と同じほど物真似が好きでけっこう〈評価〉されていた。お婆さん噺家の今輔師匠の生の声に接したいということで、無礼にも電話をかけたところ意外に在宅で、ご本人が出てきた。驚いて、今度高校文化祭で古典落語の研究発表をしたいので、電話した次第、「野ざらし」というのはどこが面白いのかわからない、ぜひご教示願えれば、などと咄嗟の思いつきを言うと、師匠噺の筋を語り出し、「……というところが面白いんですな」と最後に丁寧に解説をしていただいた。あまりの恐縮で……のところは、聞きとれず記憶の外である。汗顔の至りというべき悪戯ではあった。
第60回「もう一人の黒門町」 | 連載「落語 木戸をくぐれば」 | otonano by Sony Music Direct (Japan) Inc.
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春風亭柳好(三代目) 野ざらし* - YouTube