春野寿美礼さん、杜けあきさん




 昨日12/14は、「アトリエ・ダンカン」企画製作のミュージカル公演『ア・ソング・フォー・ユー』を、新国立劇場・中劇場にて鑑賞。1970年代、東京福生市のあるライブハウスが舞台。近くに米軍横田基地があり、ベトナム戦争を戦う米軍兵士らの憩いの場という設定で、ここにカーペンターズの曲を歌う3人組の女性トリオがいて、専属のロック歌手やらフォーク・デュオをめざす若者らがオーディションを受けにくるところから物語が始まる。歌われるのは、オーディションの曲を除いて、カーペンターズの曲。反戦のロックでも〈甘い〉フォークでも、日本的情念の歌謡曲でもない、カーペンターズの切ないメロディに、反戦運動やら恋やらに挫折したり、事故で家族を喪ったりした青春の深傷も癒され、若者たちの友情と米軍兵士らとの交流も、それによって可能となった、そんな懐旧の物語である。いつの時代にあっても「音楽はいいぜ!」とのメッセージであろう。脚本・作詞・演出協力=鈴木聡、上演台本・作詞・演出=菅野こうめいである。「いつまで青春やってんだ!」と半畳を入れるのは控えておこう。
 連れ合いもこちらもあいにくカーペンターズの音楽は聴いていなかったが、宝塚出身の春野寿美礼さん、杜けあきさんの歌を生で聴けたので満足。杜けあきさんについては、東京宝塚劇場の引退記念公演以来、感激の舞台。

 今月10日に亡くなった市川森一氏脚本の「私が愛したウルトラセブン」(NHK:1993年)も、ベトナム戦争の時代の物語だった。アンヌ(ひし美ゆり子)を主役にしているが、戦争忌避のアメリカ兵士を助けるエピソードなどフィクションである。このドラマのなかで、クラブ「ミラボー」で冬木直子役で「アプレ・トワ」を歌ったのが、やはり宝塚出身のネッシー日向薫さん。ダン役の俳優との恋の破局を哀しく歌っていて、とても印象的であった。CD『岩谷時子シャンソン詩集:ラストダンスは私に』(Fun House)に収録されている。 

 来年5・6月に東京帝劇で、『エリザベート』の上演あるとのこと、愉しみ。いつかエリザベート瀬奈じゅんさんで鑑賞したいと思っていたが、Wキャストの春野寿美礼さんもありかと。ウィーン赴任中だった甥に購入してもらった『ELISABETH』のDVD(SAMMLER EDITION)を開封するのは、この日本の舞台を味わってからのことだ。
 http://www.youtube.com/watch?v=BfMo9Qjwbu8
⦅写真(解像度20%)は、東京台東区下町民家のミニバラ、八女津姫(やめつひめ)。小川匡夫氏(全日写連)撮影。⦆