日本人は集団主義か?

 一昨日はひさしぶりに「日本経済新聞」1/17号を駅売店で購入した。お目当ての記事は、「経済教室」の、大竹文雄大阪大学教授の「個人主義と経済の関係は?」と題された論考。面白い。
 日本人は集団主義的であるとの漱石以来の議論およびそれへの反論を紹介してから、オランダ・マーストリヒト大学のホフステッド名誉教授作成の指標を取り上げている。米IBMの世界30カ国の現地社員へのアンケート調査(仕事・報酬に関する状況や価値観に関する30の質問)を基に、個人主義の度合いを国ごとに数値化、個人主義の程度が一番高いと100点、集団主義が一番高いと0点と換算したものである。予想通り、米国の91点を頂点として、オーストラリア、英国、カナダ、オランダなどの順で、欧州諸国の多くが個人主義の程度が高いが、日本は46点で、中間に位置し、スペインの51点が日本に近く、ギリシアは35点と日本より集団主義的である。アジアでは、中国が20点、韓国が18点と、日本より個人主義の度合いが低い。
 ここから経済との関係について論が進められる。個人主義的な価値観が強い社会では、組織効率は低くなるが、革新的な技術進歩が生まれやすく、集団主義的な社会では、(労働市場流動性が低ければ)既存の人員と方法による、技術の漸進的な改善が選ばれるという。革新的な技術が求められている現代において、「多様な性格の人がいる」日本で、「個人主義的な人には革新的な技術やアイデアを創り出す環境を提供し、集団主義的な人には組織効率を高める環境を提供できるような社会にすることが大切であろう」。なるほど、サッカー日本代表の今後のめざすべき方向性と、重なる課題が見えてくるのである。
⦅写真(解像度20%)は、東京上野東照宮ぼたん苑の冬牡丹。小川匡夫氏(全日写連)撮影。⦆