近場で世界レベルを





 
「建築界のノーベル賞」といわれているそうな、米プリツカー賞の今年の受賞者に、妹島和世氏と西沢立衛氏の2人の日本人建築家が選ばれた、と報道されている.二人は共同運営の設計事務所で仕事をしてきて、「金沢21世紀美術館」「小笠原資料館」などの建築作品が評価されたとのことである.1995年の安藤忠雄氏以来の快挙だそうで、慶賀に値する.
  http://jp.reuters.com/article/domesticJPNews/idJPJAPAN-14554720100329
 西沢氏単独の「西沢立衛建築設計事務所」もあり、当然こちら設計の建築にも注目が必要であろう.高校のクラスメイトの、かの岸田日出刀の子息比呂志氏(現国連大学上席客員研究員)など、建築関係の人物は身近にけっこういたのだが、ブルーノ・ゼヴィの『空間としての建築』(青銅社)、栗田勇『現代の空間』(三一書房)、原広司『建築に何が可能か』(學藝書林)などをかつて読んだのみで、現代建築に関してはほとんど無知である.
 http://www.city.ichikawa.chiba.jp/shisetsu/tosyo/kyo/kishida/kishida.htm
 わが船橋の町に、西沢立衛(りゅうえい)氏設計のアパートがあることを知り、さっそく出向いた.ネットではただ「船橋アパート」と呼称されていて、所在は不明(もしくはデタラメ).住宅地に目立たず建っているので、まずはわからないだろう。居住者のことも考慮し場所は伏せておこう.「GLAN STAGE」という集合住宅名だ.じつにシンプルで、色彩も単色.ガラス窓の配置がモンドリアンの絵画でも見るような味わい.そこが周囲の建物と異質のところである.残念ながら内なる空間の構成は見られなかった.こちらにこそさらに面白さが工夫されているのだろう.興味のある人は、1Fピザ屋のビル隣というヒントでお探しあれ.

 さてこの5日(土)隣町の市川文化会館大ホールで、ジャズピアノの小曽根真と、ヴィブラフォンGary BurtonのDuoによるライブがある。チケット入手.もとよりピアノが弾けないので深くはわからないだろうが、演奏を鶴首して待つといったところである。ともあれ、近場で世界レベルの建築と音楽を堪能できることを悦びとしたい。 

⦅写真(解像度20%)は、東京北区旧古河庭園の薔薇、HT系統のジーナ・ロロブリジーダ=Gina Lollobrigida(メイアン=Meilland作出)。小川匡夫氏(全日写連)撮影。⦆