ボスには逆らえない:『 LAW&ORDER(SVU)』S21ー17(ネタバレあり)

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  Hulu配信中の米国NBC放送、ディック・ウルフ制作『LAW&ORDER:性犯罪特捜班(SVU)』シーズン21ーエピソード17「DANCE,LIES,AND VIDEO TAPE」は、現代日本に起こっている問題を考える参考にもなるエピソードで、面白かった。国立のバレエ団で発生した事件。プリマに選ばれたデリアが(自分だけが付き合っているとダマされている)男性ダンサー、ブラッドに誘われてスタジオXと呼ばれる秘密の場所で抱き合う。ところがこの性行為が隠しカメラで撮影されていて、映像をブラッドは男性ダンサージェイソンにメール送信、彼がこの映像をあるポルノサイトに投稿し瞬く間にネットに拡散された。デリアはバレエ教師を解雇され、SVUに対処を求めたことが発端。
 オリビア・ベンソン警部(マリスカ・ハージティ)を中心に、アマンダ・ロリンズ刑事(ケリー・ギディッシュ)、キャット・タミン刑事(ジェイミー・グレイ・ハイダー)らが捜査を進めると、バレエ団内部の腐敗構造が明らかになる。バレエ団を退団しバレエが一生できなくなったローズを訪ねると、その内部権力によるカラクリがわかったのである。男性ダンサーとの情事を撮らせてその映像拡散阻止を取引材料にして、振付師サーシャが女性ダンサーとの関係を迫り、断れなくさせてしまう。関係は続き、見返りとしてプリマの座を保証される。このことをバレエ団の最高責任者アリスターに相談すると、今度はアリスターがバレエ団のパーティーに招いた有力支援者にプリマとの「ディナー権」を提供し、プリマに売春を命じる。そうすれば振付師サーシャとの関係はやめさせ、映像の流出・拡散も防止する。もし拒否すれば、映像の拡散は止まらず、一生バレエができなくなる、というカラクリ。ソニー・カリシ検事の決定を待つまでもなく、怒りに燃えたベンソン警部は、(おとり捜査で売春現場を押えた上で)アリスターとサーシャの逮捕に踏み切る。ざっとこんな展開。
 サーシャこそ腐敗の根源かと、まだラスボスがアリスターだとは判然としなかった段階で、オリビア・ベンソン警部は、「ボスには逆らえないのよ。このことは、バレエ界だけのことではない。教会、報道機関、映画業界、みなそうなのよ」と苦々しい表情で語るところが、このエピソード終了後も印象に強く残っている。

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