『群系』第34号発刊


『群系』第34号が発刊された。評論を主とする文藝同人誌である。文藝同人誌としては、もはや老舗といっても斯界では異議は出ないだろう。こちらは同誌に寄稿したことはないが、会員ではある。作品を料理に見立てれば、フルコースの料理というより、おそらく口にすればなかなかに味わい深い、賄い料理のような皿が並べられてある趣きである。


 相川良彦の『NHK朝ドラ「花子とアン」評』をすぐに読む。原作評伝では「失踪としか触れられない兄を登場させ、重要な役割を与えている」ことに注目し、「父からの自立をめざして憲兵になったと設定される兄は、戦争協力した花子の分身と考えて良さそうだ」と論じているところには感心した。
……ただ、この花子の反戦の強調は、分身である兄の戦争協力とセットにされることで、ドラマ全体としては相殺されてその偽善性を和らげ、内容に深みを加えている。……(p.132)


⦅写真は、東京台東区下町民家の上モッコウバラ(木香薔薇)、下ベルフラワー。小川匡夫氏(全日写連)撮影。コンパクトデジカメ使用。⦆