花の京都を歩く

 4/15(月)〜4/17(水)京都を旅した。宿泊は、京都駅八条東口すぐの新都ホテル。今回で3回目の利用。
4/15
「オステリアサクラ(Osteria Sakura)」
 新幹線京都駅到着が正午直前ということで、JR京都伊勢丹=SUVACO3Fのイタリアン「オステリアサクラ」に入って小海老&九条ネギのパスタランチを注文。味も悪くなかったが、各テーブルの丸いコップに、オレンジのモカラタンガリンの花と葉が浮いていて、洒落た置物、楽しめた。

醍醐寺
 JRで山科に行き、地下鉄東西線醍醐駅下車、そこから歩いて醍醐寺へ。途中枝大きく伸びた花蘇芳の下を通った。わが家の庭の白い花蘇芳を想った。三宝院の桜は散り終わっていたが、入口脇の八重桜は見頃で、五重塔下の枝垂れ桜は散り尽くしてはいなかった。金堂とともに国宝のこの五重塔は、朱塗りの色こそ褪せていたが、圧巻の迫力は変わっていなかった。三宝院の庭の石の重なりには、散る桜とは対照的で不変の美しさがあった。


「イルギオットーネ(IL GHIOTTONE)」
 夕食は、予約してあった八坂の塔真下の「イルギオットーネ」でいただいた。笹島保弘シェフの独創が生きるイタリアンとして、京都でも屈指の店ときいている。コースのディナーは質量ともに満足。店内は白と黒のシンプルな色調で、次々に供される料理の色彩が鮮明となる。みごとである。南イタリアのCabernet Sauvignon種の赤ワインをグラス2杯、白ワインを1杯呑んだ。桜の酔いにワインの酔いが加わって、旅の愉悦が極まった。オリーブをつけて食べる、イタリアパンのフォカッチャは柔らかくて食べやすい。麻袋のパンの下に入れられたサクランボの種でパンが保温され、温かいまま取り出せた、ありがたい。トイレから戻ると、隣のテーブルの若い女性が誕生日の祝福を受けていた。こちらも慌てて、拍手を送ると、「ありがとうございます」と女性が微笑んでくれた。女性の向かいの青年はやたらビールを注文していたが、こんなところで恋人の誕生を祝ってあげるとは大したものである。あるいは見かけと異なり老舗の若旦那でもあろうか、みずからの乏しさを忘れて他人の財布の中身を推測したものである。


 http://www.ilghiottone.com/home.html(「イルギオットーネ(IL GHIOTTONE)」)
4/16 
上賀茂神社
 地下鉄烏丸線北大路駅からバスに乗り、上賀茂神社に参詣。祭殿前の円錐形の立砂にひさしぶりに再会し、感動。帰りに、ここで結婚式を行う一行に遭遇、新郎・新婦の顔を一瞬の早業で観察した。


【正伝寺】
 上賀茂神社から上賀茂御薗橋をわたり、西賀茂の正伝寺へ歩いた。途中地図を見ていると、通りかかったおばさんが親切にも山の麓までの道順を教えてくれた。感謝。道路両脇に京都パープルサンガのフラッグがはためいていた。なぜこの道路だけなのか合点が行かなかった。
 山門をくぐり山道を登ると方丈に辿り着いた。小堀遠州作とされる庭園は、遠く比叡山を借景にした枯山水の庭。サツキの刈込みと白砂の庭で、右塀の向こうに枝垂れ桜が満開、鶯の鳴き声まで聞こえ始め、悦ばしいときを過せた。上を見上げれば、伏見城の立て籠った徳川方重鎮鳥居元忠以下が割腹した際の廊下の板を天井にしたもので、今なお残るおびただしい血痕から、血天井と呼ばれる。京都のほかの寺院にもあるそうだが、観るのは今回が初めてである。西陣に住んでいるとの中年の女性二人としばらく談笑した。「あまりここも知られるようになってしもたら困るんどすわ」とか話していたのが印象的であった。





【からふねや珈琲店・本店】
 北大路から烏丸御池乗換えで京都市役所下車で河原町三条まで歩いて、からふねや珈琲本店に入った。ここはパンケーキで有名な店。さっそく苺白玉パンケーキコーヒーを注文、申し分ない味であった。壁のリースの飾りもセンスあり、雰囲気もよい。

一澤信三郎帆布
 三条大橋をわたって東大路通りに出、一澤信三郎帆布に到着。いま愛用の帽子と色違いの帽子を二つ購入した。レジの男性はすぐ気がついて、「あ、うちの品物使っていただいておおきに」と言ってくれた。気分がいい。


 八坂神社に参詣してからホテルに戻った。
4/17
智積院
 京阪七条駅降りてボヤボヤしていたら中年の男の人が声をかけてくれて、「三十三間堂いくんだろ、あっちのエスカレーターあがってまっすぐ行きな」と。「その先の智積院に行くんだけど、ありがとうございます、おおきに」とこちら。
 三十三間堂を通り過ぎて、真言宗智山派総本山智積院に到着。長谷川等伯筆の「楓図」、「松に秋草図」、「松に立葵図」(いずれも国宝)、「松に黄蜀(とろろ)葵図」および、夭逝した息子の長谷川久蔵筆の「桜図」(国宝)などを鑑賞した。「桜図」には感激。その枝の雄渾な「遊び」には、どんな写真も及ぶまい。



松尾大社
 河原町駅から阪急京都線に乗って桂で嵐山線に乗換え、嵐山へ。駅ホーム傍らに咲いている紅白の八重桜は見応えがあった。渡月橋をわたり、京福嵐山本線嵐山駅そばの小さなカフェで、昼食を摂ったが不満の残る食事であった。ビーフカレービーフそのものは柔らかくて予想外に問題なかったが、カレーの量がすこぶる少なくてご飯ばかりが目立つ盛りつけ。そのご飯も保温のもので温かくない。食後に出てきたコーヒーもぬるいし全部は飲めない。帰りの新幹線車内販売のコーヒーの方が数段味わいがあった。観光地化した所はこれだから出向きたくないのである。嵐山には今後訪れることはないであろう。松尾大社のヤマブキ見物が目的なのでやむを得なかったのだ。


 阪急で松尾に戻り、松尾大社に参詣。酒の神様に酒起因の病だけはご勘弁をとまずは祈願してから、境内のヤマブキを堪能させてもらった。



祇園辻利・茶寮都路里
 京都駅八条口の茶寮都路里(つじり)で宇治茶のソフトクリームをいただいた。おいしかった。テーブル向かいに坐った宝塚男役のような黒い衣装の美形の女性は、白と抹茶の縞模様のソフトクリームを食べていた。次回の旅ではこれにしたい。