「柳家小三治独演会」を聴く

 
 昨日12/21(金)は、東京銀座ブロッサム(中央会館)にて、柳家小三治独演会を聴いた。S氏主宰の落語研究会への参加。参加者は、12名。番組は、前座:柳家ろべえ「たけのこ(筍)」、柳家小三治「千早振る」(休憩)、小三治茶の湯」。
 柳家ろべえは、柳家喜多八師匠の弟子ということでだろう、師匠十八番(おはこ)の演目を演じた。声大きく滑舌よいので聴き取りやすい。

「千早振る」は、立川志らくによれば、百人一首の歌「千早振る神代もきかず竜田川からくれないに水くくるとは」についての「知ったかぶりのご隠居の苦し紛れの答えであるが、実にうまい。元の意味よりこちらの解釈の方がよいぐらいだ」(『全身落語家読本』新潮選書)ということだ。花魁の千早に、そして神代にも振られた相撲取り竜田川の噺にしてしまう荒唐無稽さは、呆れるが愉快である。小三治師匠のとぼけと間合いが冴えた。柳家小さんの形が主流なのだそうである。 
  http://www.manabu-oshieru.com/hyakunin/017.html(『「千早振る〜」の解釈』)

茶の湯」は、途中睡魔に襲われ参った。博多旅行の疲れが出たのかもしれない。ご隠居のでたらめな茶の淹れ方も繰り返されると眠くなってしまう。再び志らくによれば、野良仕事をしている百姓が『「また茶の湯か」をいかに風流に言うかでこの噺は決まる』とのことで、さすが小三治師匠、「野暮ったく」百姓に言わせなく決めて終わらせた。
 
 終演後呑み会。さすがにこの季節と金曜日の夜、いつもの中華料理店は満席であった。なんとか居酒屋を見つけ小座敷で検討会。一人別口の宴席出席で参加が11人。大いに談じ大いに呑んだ。いま民謡と三味線を習っているという浅草の、愛犬家御用達の喫茶店のオーナーKさん(写真)の民謡なども歌われて楽しい年の瀬の宴とはなった。歌舞伎にも造詣深い主宰者Sさんが、亡くなった十八世中村勘三郎丈の才能と実績について論じ、一同納得、改めて冥福を祈ることとなった。

 時計は11時を過ぎていたが、なんとか新橋駅で総武線快速に飛び乗り帰宅。わが家の庭の柚子をふんだんに使った柚子湯につかり、小三治師匠の名人芸を反芻して味わった。
⦅写真(解像度20%)は、東京台東区下町民家の 園芸品種・温州みかん。小川匡夫氏(全日写連)撮影。⦆