WOWOWドラマ『マグマ』視聴

 WOWOWプライム放送の連続ドラマ『マグマ』を観た。いまのTVドラマのなかでは、水準高く見ごたえ十分、楽しめた。自然再生エネルギーの地熱エネルギー開発をめぐって、政治とビジネスの世界で、権力志向と営利優先がもたらす欲望が交錯し、魑魅魍魎が跋扈し、純粋な研究者と地道に働く庶民が苦しめられるという、松本清張的世界が描かれ、志ある上司の英断によって事態がよろしいところに決着する、いわば水戸黄門的展開で終わった。
 http://www.wowow.co.jp/dramaw/magma/WOWOW『マグマ』)
【スタッフ】 原作:真山仁(2006年作品)、脚本:篠崎絵里子、監督:香月秀之・鈴木浩介、音楽:羽岡佳
【主要キャスト】 
 外資系投資会社から派遣の「日本地熱開発」新社長野上妙子=尾野真千子、研究開発中の高温岩体発電にはじめは懐疑的であったが、現場の研究者・作業員らの情熱と、研究者として志半ばで死去した父への追憶から、この研究・開発を援護する側に回る。ついにビジネスとしての地熱発電を成功させ、笑顔を見せるところは魅力的で、引き込まれた。
 日本地熱開発前社長安藤幸二=谷原章介、元大物政治家の息子らしく育ちの良い雰囲気が出ている。
 スキャンダル記事を書いて脚光を浴びる記者桑田洋子=釈由美子、愛人の政治家龍崎大輔との情事の場面で官能性を欠く。惜しい。
 父が、政治家安藤の秘書として自殺に追い込まれたと誤解し、復讐に燃える龍崎大輔=石黒賢、企みが失敗し、失脚する結末で、秘書に「俺だけがやったことだから」と声をかけるところは感動的。
 高温岩体発電の成功に命をかける研究所長御室幸治郎=長塚京三、妻千歳=仁科亜季子
 原子力発電推進の科学者宇田川光彦=大杉蓮、いま自然再生エネルギー利用をまったく否定する〈推進派〉はいないだろう。御室=善玉、宇田川=悪玉の公式でやや単純化している。物足りない。
 投資会社の野上の上司=津田寛治、この目つきの悪さは怖い。はまっている。
 日本地熱開発の主任研究員玉田寛夫=甲本雅裕、妻=笛木優子。甲本はおどおどしている感じがぴったり。


⦅写真(解像度20%)は、東京台東区下町民家のアガパンサス(Agapanthus)の花。小川匡夫氏(全日写連)撮影。⦆