クサキリ出現



 6/10(日)は、東京世田谷区北烏山の専光寺で催された施餓鬼の法会に参列した。専光寺は、浄土宗の寺院で、昭和初期に浅草北松山町より移転して今日に至っている。江戸の浮世絵師喜多川(北川)歌麿の墓があることで知られている。「二河白道(にがびゃくどう)」の法話のあと、法会が執行された。導師は、すでに傘寿を越えた先代住職から昨年よりご長男にバトンタッチ、まだ慣れていないところもあった。ともかく無事終了し、父と弟の眠る墓の掃苔荷風散人のような展墓趣味はないものの、けっこう愉しみにしている私的催しではある。
 http://d.hatena.ne.jp/simmel20/20100614/1276508537(「杏葉紋と浄土宗寺院」)
 墓の脇のスズランの叢に、1匹の虫を発見。さっそく捕えてみると、クサキリであった。わが家に帰宅後飼育ケースに入れ、庭のスズランの葉とキュウリ、それにカツオブシを無雑作に放り込んだ。スズランの葉は、人間には有毒だが、だいじょうぶなのだろう、現在も生存している。わが愛用の荒俣宏著『世界大博物図鑑1蟲類』(平凡社)の「キリギリス」のところを覗いてみた。

……キリギリスはヨーロッパにもいるようだが、文献にはあまり記されていない。エドワード・S・モースは東京の虫売りの所持していたキリギリス類にふれ、イギリスの同類よりも鳴き声ははるかに大きい、と指摘した。また、《日本その日その日》には〈私は一匹買ってマッチ箱に仕舞って置いたが、八日後にもまだ生きていて元気がよかった〉とある。これからすると、イギリスにおいても日本のキリギリスによく似た虫がときに飼われていたと考えられる。……(同書p.182)
 わが飼育ケースのクサキリには、8日は越えて生き続けてほしいものである。

虫の宇宙誌

虫の宇宙誌

⦅写真(解像度20%)は、東京台東区下町民家に咲いた、上アジサイ(紫陽花)、下ペチュニア(品種:キリンウェーブ・サーモン色)の花。小川匡夫氏(全日写連)撮影。⦆