紫蘭の花


⦅東京台東区下町民家のシラン(紫蘭)。小川匡夫氏(全日写連)撮影。⦆

(ウォーターハウス=Jhon William Waterhouse の「オフィーリア」)
 http://www.ne.jp/asahi/art/dorian/W/Waterhouse/Waterhouse.htm
 この紫蘭に関してあるネット(メール)空間でひそかに教えていただいたことだが、『ハムレット』(第4幕7場)のオフィーリアは、川で溺死する直前に、四つの花を摘んでいる。英文対訳のサイトから引用する(感謝)と、
There is a willow grows aslant a brook,
That shows his hoar leaves in the glassy stream;
There with fantastic garlands did she come
Of crow-flowers, nettles, daisies, and long purples
That liberal shepherds give a grosser name,
But our cold maids do dead men's fingers call them:
(小川のほとりに柳の木があり、
流れに灰白色の葉を映しています。
そこに花輪を持ってオフィーリアはやってきました、
花輪を飾る色とりどりの花、キンポウゲ、イラクサ、デイジー、蘭、
下品な羊飼いたちはこの花をもっと下卑た名で呼んでいますが、
貞淑な娘たちは死者の指と呼んでいます。)
  http://www.kojintekina.com/shakespeare/hamlet/hamlet4.7.html(対訳『ハムレット』)
※なお『ハムレット』原文テキストは、次のサイトにある。
  http://www.william-shakespeare.info/script-text-hamlet.htm
それぞれ、花の写真は、次にある。
  http://honorsbrit.wikispaces.com/Crowflowers (crow-flowers=キンポウゲ)
  http://www.wildmanstevebrill.com/Plants.Folder/Nettle.html(nettles=いらくさ) http://www.google.co.jp/searchq=daisies&hl=ja&client=safari&rls=en&prmd=ivns&tbm=isch&tbo=u&source=univ&sa=X&ei=9iXVTeHjK4i4vgPI6fmSDA&ved=0CDAQsAQ (daisies=デイジーひなぎく
  http://keithburdett.photoshelter.com/gallery-image/Flora/G00001ehxgM06xjE/I0000DfyjX0RrEb8
(long purples=orchid=紫の蘭)
 さてorchid(紫の蘭)は、ギリシア語のorchis(=睾丸)に由来するとのことだ。なるほどそこで「a grosser name」になるのか。日本の紫蘭とは異なる品種のようである。
 2002年に、新国立劇場で観劇した、ペーター・シュタイン演出でロシアの俳優らによる『ハムレット』では、エレーナ・ザハーロフ演じるオフィーリアが、可憐で無垢ななかにも肉体そのものの淫靡さを感じさせてドキッとさせられた記憶がある。「long purples=orchid」を摘んで溺れてしまった原作のオフィーリアに、案外ふさわしかったのかもしれない。