「開成学園大運動会」見物記

(S55卒橙組松村篤樹氏撮影・提供)
(2015年大運動会:高2高3棒倒し白組完全制覇。総合優勝も白組。アーチは紫組。エールは黄組。)

(2014年運動会高2棒倒し橙組優勝!)
(追加「2013年大運動会各組冊子」)2013年度は、諸般の事情により一般公開中止。天候不順のため、5/13(月)に実施。
(追加:アーチ賞に輝いた「2013年橙組アーチ」)
(追加「2013年黒組アーチ」)
(追加「2013年赤組サブアーチ」)

 昨日は、午後から創立140周年記念「開成学園大運動会」を見物した。もっとも観たのは、3年生の「棒倒し」種目のみ。昔は、高校6学級編成で、あるときから1学級増やし7学級とした。そこで、運動会の組の色、紫・白・青・緑・黄・赤に、橙色が加わり、以降5組は橙組となった。その後、もう1学級増やして8学級とし、8組は黒組となって、今日に至っている。







(第50代橙組組責S君。2013年聖マリアンナ医科大生)
 橙組の初代OBを招待してくれたのである。こちらも、いちおう名ばかりのアーチ係責任の〈経歴〉があるので、とくにアーチの出来映えには関心をもった。(1年下の橙組アーチを造ったのは、王立英国建築家協会会員という、世界的な建築家・彫刻家の川上喜三郎氏!)総合優勝した黄組(6組)のアーチは、雄渾かつ勇壮なアパッチ族の戦闘の絵であった。オバマビン・ラディン殺害の「Geronimo」作戦の呼称は、アメリカの現アパッチ族のひとの反感を買っている。ここは、日本であるし、事件の前から用意されたものであろうから、とくに異議はない。ただ偶然の危うさを思ったことだった。なお、ラルフ・ネルソン監督『SOLDIER BLUE(ソルジャーブルー)』は、1864年コロラドのサンドクリークというところでシャイアン族600名が惨殺された史実を題材にした映画で、アメリカを考えるときひとつの参考にはなろうか。

「棒倒し」は、応援した橙組は、けっきょく3回のうち1回勝っただけで、学年6位に終わった。(優勝は緑組。難攻不落で、緑組の棒は倒れる感じがしなかった。勇者たちのwinning runには拍手を送った。)橙組応援席の前で、土下座で詫びる3年生一同が可笑しくもあり、痛々しくもあった。青春である。かつてアーチ組み立てのためまだ夜も明けきらない時間に登校し、「棒倒し」の直後あやうく貧血になりかかったことを苦々しく思い出した。「頭でっかちだ!」「応援の声が聞こえない!」「いちいちルールが細かすぎる!」など、集まった12人ほどのOBオヤジの、嘆きの声があがったが、しょせんは過去のみずからの青春を正当化しているのみ。現在東大医学部在学中で本校卒業の子息のいるK君とともに、同じく卒業生の愚息(現在弁護士)がいるこちらと二人で、運動会の今昔を解説、納得を求めた。
 すべて生徒が1年前から準備して運営し、受付は設置せず、外部からの入場はフリーという方針は、みごとである。種目も何十年も変わらず、目玉の3年「棒倒し」は、1〜8位まで順位を決めるので、再試合を含めて延々と進められる。呆れるが喜ばしい。
 優勝した組の者も負けた組の者も、しばらく大いなる虚脱状態に陥り、やがて覚醒して一気に受験モードに突入、それまで意外と予備校全国模試でも優秀者の多くない(多分変わっていないだろう)学校が、(むろん潜在能力の高さもあろうが)翌春の大学入試に圧倒的実績を残せる秘密が、ひょっとするとこのあたりにあるのかもしれない。ともあれ、負ける悲哀を知った謙虚な人間に育ってほしいものだ。

 http://d.hatena.ne.jp/simmel20/20100907(「後生畏るべしー開成二冠」)
http://d.hatena.ne.jp/simmel20/20110601/1306907411(「向井理と丸山公明教授(PT2)」)
(「昭和36年の運動会映像」)
【追記】昨日の中央競馬のGⅠレース「NHKマイルC」で、矢作厩舎のグランプリボス号が優勝した。この馬を管理する矢作芳人調教師は、開成学園の卒業で、「運動会こそ僕の原点」と、どこかで述べている。まさに開成な一日ではあった。因みにこの馬券は、3連複的中させている。

 
⦅写真(解像度20%)は、東京台東区下町民家のフクシア(Fuchsia)。小川匡夫氏(全日写連)撮影。⦆