海洋堂の宮脇修さん

 海洋堂ティラノサウルスのフィギュア(あるとき倒してしまい、前肢がもげてしまった)を所蔵している。これはかつて海洋堂創業者の宮脇修さんから直接、千葉県市川市のうどん・蕎麦店「一茶庵」の酒席でいただいたものである。ほんとうは作家の葉山修平氏に贈られたものを、葉山氏は「恐竜には興味がないから」ということで、お裾分け(?)してもらった経緯(いきさつ)がある。宮脇修さんは、昔宮脇童平というペンネームで小説を書いていた。高校生のころ、東京田端の葉山修平氏のお宅で、はじめてお目にかかっている。海洋を舞台にした「ギニア海流」という雄渾な作品を、同人誌『花』に発表していた。後日タイプ刷りのわが小説&寸評を宮脇さんに送ったところ、当時北海道根室の缶詰工場で工員として働いていた氏から、「拙作まで過分の評価賜りありがとうございました」と、年少者に対して、じつに丁寧なお葉書をいただいた。むろんいまもたいせつに保管している。


東京新聞」1/21によれば、宮脇さんの出身地の高知県四万十町に、廃校の体育館を利用した「海洋堂ホビー館四万十」を開館させるそうで、82歳の館長が発起人となって、全国のファンを呼び込む「フィギュアの聖地化」計画を進めているとのことである。意気軒昂にはただ驚くばかりである。かつてHPに記載したものを再録しておこう。

チョコエッグという、小さいフィギュアの入ったお菓子が、ひそかに売れているそうである。秋葉原海洋堂のアンテナショップで購入したことがあるが、そんなに人気が出るとは予想できなかった。海洋堂を起こした、宮脇修氏は、かつて小説を書いていたことは、あまり知られていないようである。少年のころ、ある作家の家で氏とお会いしたのが初対面であった。その後だいぶ過ぎてから、最近実刑4年の判決の出た、泰道三八氏が元社長であったエスエス製薬で働いていて、脱サラして経営していた市川の「手打ちうどん」の店で、同じ作家とともに、宮脇さんと酒を呑んだことがあった。その席で、アメリカの特撮映画監督が激賞したという、ティラノサウルスのリアルな模型をいただいた。70歳を過ぎたいまも矍鑠(かくしゃく)としていて、外国へも出かけていると聞く。30年以上前に創った海洋冒険の童話『クロシオ先生の海』を龍書房から上梓している。一冊求めたところ、海洋堂特製の、可愛いフィギュアがセットで付けられていた。(2001年3/8記)

⦅写真(解像度20%)は、東京文京区湯島天満宮の白梅。小川匡夫氏(全日写連)撮影。⦆