

磯田光一『正統なき異端』(1969年初版 仮面社)に「三島由紀夫と吉本隆明」と題しての討論・座談会記録が載っている。参加者は、小川徹・桶谷秀昭・松田政男・磯田光一の4人。初めの問題提起で、磯田光一が映画『黒蜥蜴』について述べている。
磯田:……あの映画の構造そのものが三島美學の構造とぴったりくっついているという感じがするのです。剥製という考え方は『仮面の告白』の考え方です。つまり人間の中味などは何ものでもなく、表面こそが美しいのだという、これはギリシャ的な肉体観ですね。しかも三島の場合、ギリシャ的なものを現代に再生する時は、あくまでも人工的な操作によらなければいけないということを『鏡子の家』の中などでもいってます。しかも剥製を集めている黒蜥蜴が、自分の信じている剥製を作るという理想主義に破綻を感じ、結局明智という探偵に愛情を持ってしまうわけです。愛情を持つことは、ああいう女ボス的存在にとっては完全な敗北なんですよ。しかも敗北を自ら選んで、明智の幻影を夢見ながら死ぬというあの死に方、これはやはり日本浪曼派につながる何かではありませんか。
江戸川乱歩原作に拠る、三島由紀夫作『黒蜥蜴』の舞台は、2006年11/29東京江東区ベニサン・ピットで観ている。デヴィッド・ルヴォー演出で、麻美れいが緑川夫人実は黒蜥蜴、千葉哲也が明智小五郎、面白い芝居であった。三島由紀夫研究者として知られる山中剛史さんは、この舞台を観ていないそうである。昔上野の東京国立博物館講堂で『サド侯爵夫人』が上演された時、斜め前の席に山中剛史さんをお見かけしたことがあった。
なお当日は、こちらの席を140→136に移してもらった。閉所恐怖症なので、端の席に変えてもらったのである。係りの方に感謝したい。
それは羨ましい、ルヴォー演出は行きはぐってしまい、その後、通販でパンフを買いました。
— 山中剛史 (@ymnktakeshi) 2025年6月28日





