蜷川幸雄と鴨下信一

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    TBSドラマ演出家鴨下信一さんも、(舞台)演出家蜷川幸雄さんもわが高校の大先輩にあたる。鴨下さんはS28卒、蜷川幸雄さんはS30卒で、同じころの卒業。鴨下さんは、東大文学部美学科に進み天下のTBSに就職した秀才エリートコース、いっぽうの蜷川さんは成績不良で留年、鴨下さんより2年後(あと)に卒業している。対照的な進路を歩んでいる。鴨下信一氏がかつて同窓会誌で蜷川幸雄の演劇について論じている。ブログで紹介済みであるが、

 この演出家のスペクタクルで祝祭的な演劇のルーツを、2年(1年?)先輩の秀才、テレビ演出家の鴨下信一氏は、〈開成時代〉にあるのではないかと、同窓会誌(2011年6月号)で述べている。
……ニナガワ芝居には必ず俳優が舞台に(時に客席)を(ねり歩く)箇所があって、これが歌舞伎の花道上の所作、あるいはダンマリのような土俗的な祝典性をよく表わしているように思う。しかしもしかすると、ひょっとしてあの運動会の仮装行列が彼の心の中で蘇ったのではないか。
 となれば、ニナガワ演劇のルーツは開成だ。たしかに勉強もさせられたが、開成での学生生活には〈祭り〉がいっぱいあった。……
 蜷川氏の話に、「開成での授業でいいなと思ったのは、突然チェロを弾き始めたりとか、逸脱する先生が少なくなかったということです…」とあったことと呼応する。 

    少年時代とは反対に、昔はインドアの時間は読書のみで、テレビドラマは観ていなかったので(いまはテレビドラマの合間に本を読んでいる始末)、鴨下信一演出のドラマもまったく知らない。ひょっとすると蜷川幸雄の舞台に通じるところがあるいはあるのかも知れないが、追跡の関心はない。ただ大先輩に敬意を表し、ご冥福を祈りたい。

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